茶ゴケ(珪藻)の発生原因と除去方法
茶ゴケは、珪藻という種類の藻類の仲間です。アクアリウムや水草水槽をはじめて、初心者の方がはじめて発生した時に、困らせるコケの一つです。しかし茶ゴケの発生原因や除去方法を知れば、他のコケより対処しやすいコケの種類です。茶ゴケが発生した場合の除去・駆除方法など詳しく解説します。英語では、茶ゴケはbrown algae、珪藻はdiatomと訳されます。
1.発生原因
茶ゴケの発生原因は栄養分が水槽内に蓄積することで発生します。茶ゴケを発見したらまず水換え回数が足りない、栄養分が蓄積している水槽と判断できます。水槽に熱帯魚を入れてから数日で栄養分が発生します。また水槽立ち上げ初期のソイルからも茶ゴケの発生原因となる栄養分が発生します。魚やソイルから発生するアンモニアはバクテリアによって分解され栄養分が蓄積しだす1~2週間すると茶ゴケが発生しやすくなります。
茶ゴケの発生源は次の2つが主な原因になります。
- 水槽に発生する栄養分
- 光量の強さに影響して発生する
水槽に発生する栄養分
茶ゴケに影響しやすい栄養分の発生源は次の4つのケースが考えられます。
- ソイル(水槽立ち上げ時)
- 餌(窒素・リン)
- 魚(魚からでる排泄物・アンモニア)
- 肥料(窒素・リンが含まれた)
水槽立ち上げ初期に発生する原因
茶ゴケは水槽立ち上げ時1~3週間に発生しやすいコケです。ソイルを使って立ち上げた場合や水槽立ち上げ時に魚を入れている場合に発生しやすいです。動画は立ち上げ時のコツを解説しています。
また茶ゴケの発生したタイミングと同時に光量が強いとさらにアオミドロが発生しやすい状況になります。特にソイルを使った際は、立ち上げ時の水換え不足や水草が繁茂する前に生体を入れてしまうと茶ゴケが発生しやすくなります。
私の経験では茶ゴケの発生はリン酸塩が大きくかかわっているように感じます。水槽内にリン酸塩が発生するソイルで立ち上げた時に茶ゴケが発生しやすいからです。ソイルには栄養分となるリンが含まれている製品もあり、水槽に生体がいなくても、栄養系のソイルは立ち上げから1~3ヶ月、吸着系は1~2週間はコケの発生原因になる栄養分が発生することがあります。ソイルの多くは水槽を立ち上げ時に5ppm~15ppm程度の硝酸塩(窒素)が発生することにより、コケが発生しやすくなります。ただしメーカーによって、栄養分の含まれる量が大きく違います。水草の栄養分が多く含まれた、茶ゴケが発生しやすい栄養系のソイルはアクアソイル アマゾニア、JUN マスターソイル ネクストです。栄養分があまり含まれていない吸着系のソイルはプラチナソイル、水草一番サンド、リーフプロソイルです。私はプラチナソイルが扱いやすく使うことが多いです。
安定した水槽で発生した原因
立ち上げから半年以上経過した安定した水槽でも茶ゴケが突然発生する場合があります。原因は茶ゴケが発生しやすい栄養分が蓄積することが原因と考えられます。茶ゴケが好む栄養分が蓄積する原因のひとつに、水草の光合成量が減り栄養分が吸収が減り水槽の浄化能力が下がる場合があります。水草の光合成が減る原因は、光量が減る、CO2量が減る、硬度が上がる、水草量が減るなどが考えられます。このように水槽に茶ゴケの好む栄養分が蓄積することで、茶後ゴケ発生してしまう場合があります。
安定した水槽で茶ゴケを発生させたケースを2例紹介します。
生体を増やした場合に発生
次の写真は安定した水槽に熱帯魚を増やしたことで石に薄っすら茶ゴケが発生しました。この水槽は水草の量はあまり多くなく、浄化能力が高くなかったため生体を増やした初期に茶ゴケが発生しました。
上記の写真の水槽はRO水で管理した水槽です。海水魚では、茶ゴケの発生の原因の一つとされる水道水に含まれるケイ酸塩(ケイ素)をRO浄水器で除去して使うことがあります。私は水草水槽で、RO浄水器でケイ酸塩を除去して、純水で管理していた水槽で茶ゴケが発生した経験があります。淡水の水槽では、立ち上げ時に茶ゴケが発生しやすいですが、水槽が安定してから茶ゴケが発生するケースは少ないです。水槽が立ち上がってしまえば、ケイ酸塩が含まれる水道水で水換えをしても茶ゴケが発生することはないです。このことから、淡水の水槽では、茶ゴケの発生と水道水に含まれるケイ酸塩はあまり深く関係ないように感じます。
自作液肥を添加して茶ゴケが発生した
過去に自作液肥の添加方法を研究していた時に、園芸用品のハイポネックス 開花促進を添加した際に茶ゴケを発生させたことがありました。ハイポネックス 開花促進を添加した水槽は安定していた水草水槽でしたが、添加した液肥の濃度が高すぎたことで茶ゴケを大発生させました。この失敗により、安定した水槽でも過剰な栄養分により、茶ゴケが好きな栄養分が増えると発生するということがわかりました。この時の茶ゴケの除去方法としては、水換え頻度を上げて、水槽内の栄養分を除去することで、茶ゴケは自然消滅することができました。ハイポネックス 開花促進の主な成分は水溶性りん酸:6.0、水溶性加里:4.0、水溶性苦土:0.05、水溶性マンガン:0.001、水溶性ほう素:0.005、13種類の栄養素をバランス良く配合(窒素無配合)、高純度天然糖質(トレハロース)配合されています。このハイポネックス 開花促進を40倍に薄めたものを水槽に添加した際に、茶ゴケが発生しました。
光量の強さに影響して発生する
茶ゴケは照明の光量の強さや点灯時間に影響して発生します。光量が強い場合は、増殖力・発生スピードが早まり、点灯時間が長いと発生量が増える傾向があります。
2.改善方法(対策)
茶ゴケを水槽から除去するには、まずは水槽をあらかじめ改善する必要があります。まずはじめに水質改善と環境改善するために次の2つの改善方法(対策)が重要です。
- ⅰ.水換え回数・量を増やす水質改善
- ⅱ.光量・照明時間を調整する環境改善
ⅰ.水換え回数・量を増やす水質改善
水槽の水換え不足は、茶ゴケだけではなく、コケ全般の発生を誘発します。水槽の掃除は、底床の汚れをプロホースを使い魚の糞やゴミを除去します。水換えは週2回水槽の3分の1程度の量が目安になります。水換えのタイミングはコケを発生させない為の水換え方法の記事をご覧ください。
ⅱ.光量・照明時間を調整する環境改善
茶ゴケ対策は、光量を弱める、点灯時間を短くすることで抑制効果があります。光量の強いLED照明は水草育成に適していますが、あらゆるコケの成長を促進する効果もあります。そのためコケが発生した場合は光量を半分程度まで弱める調整が重要です。点灯時間は6時間程度に調整します。
3.除去方法
水槽内に発生した見苦しい茶ゴケの除去方法は、2.改善方法(対策)できます。さらに茶ゴケを食べる生体を入れることで、茶ゴケの除去からアオミドロや黒髭コケなど水槽に発生しやすい藻類の抑制対策になります。
茶ゴケを食べる生体
茶ゴケを食べるコケ取り生体を5種類紹介します。生体による除去効果はコケの発生が抑制されている状態ではじめて効果がでます。茶ゴケが発生し続けている水槽では、コケ取り生体の効果は感じられなかったり、除去できない場合がありますので、必ず生体を入れる前に2.改善方法(対策)を行ってください。
サイアミーズフライングフォックス
コケ取り効果:★★★★☆
サイアミーズフライングフォックスは様々なコケを食べてくれます。私の多くの水槽でもサイアミーズフライングフォックスが頑固な黒髭ゴケを食べてくれています。デメリットは大きくなること、またエビを捕食してしまうことです。サイアミーズフライングフォックスはエビより安定したコケ取り効果が期待できます。60cm以上の中型水槽以上におすすめのコケ取り生体です。サイアミーズフライングフォックスは60cm水槽の場合2匹が目安になります。
ヤマトヌマエビ
コケ取り効果:★★★☆☆
ヤマトヌマエビはコケ取り生体して定番のエビです。茶ゴケの除去には光量を弱くすることでコケ取り効果が発揮しやすいです。ヤマトヌマエビは60cm水槽の場合10匹が目安になります。デメリットは餌を与えている水槽ではコケ取り効果が鈍りやすくなります。
ミナミヌマエビ
コケ取り効果:★★★☆☆
ミナミヌマエビは小型水槽やボトルアクアリウムなど小さい水槽のコケ取り生体としておすすめです。デメリットはヤマトヌマエビより小さい為、熱帯魚に捕食されやすいです。水槽内での繁殖も容易なのも魅力です。ミナミヌマエビは60cm水槽の場合10~20匹が目安になります。
オトシンクルス
コケ取り効果:★★★☆☆
オトシンクルスはコケの付いたガラス面、底床、石、流木などのコケを食べてくれます。見た目も可愛く人気のあるコケ取り生体です。オトシンクルスは60cm水槽の場合3~5匹が目安になります。
オトシンネグロ
コケ取り効果:★★★☆☆
オトシンネグロはオトシンクルスと同様のコケ取り効果が期待できます。見た目はやや地味ですが、目立たない為水槽の隠れた働き者という存在です。オトシンネグロは60cm水槽の場合3~5匹が目安になります。
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