アオミドロの発生の原因と除去方法

2023年9月21日

アオミドロは糸状にぬるっとしたとろろ昆布のように見えるコケです。水槽の環境や水質によって色や形状を変えます。アオミドロの発生原因から抑制方法、除去方法など対策を詳しく解説します。さらにアオミドロの発生した状態から水槽の水質傾向が確認できる写真なども紹介します。アオミドロをアクアリウムの世界の英語ではthread algaeという糸状のコケと訳されることが多いようです。アオミドロ属の学名はSpirogyraと訳されます。

1.アオミドロの発生原因

原因

水槽立ち上げ時から約2~3週間目から発生しやすいコケの一つです。原因はLED照明など強い光量を使った水槽で発生しやすいコケです。アオミドロの発生のタイミングは水槽を立ち上げ、水槽内の汚れを分解する好気性のバクテリアが活動してから発生しやすいです。水槽を立ち上げ初期は、魚やソイルから出るアンモニアが好気性のバクテリアによって分解されて、栄養分(硝酸塩)が検出した時期に発生します。比較的茶ゴケが発生した直後に発生しやすいと感じます。また外部からアオミドロを混入させて発生させてしまう場合もあるようです。

主な原因のひとつ強い光量

アオミドロはLEDを使った強い光量の水草水槽で発生しやすいコケです。またボトルアクアリウムなど日光が当たる場所に設置している水槽やビオトープ、池などにも発生するコケです。光量は直射日光でなくても、窓際のレースカーテン越しにおいた水槽でも日照時間が長い時期には発生します。

増殖の要因

アオミドロは光合成により増殖するため、光量、CO2の2つの条件が揃う水草水槽で増殖しやすいです。

水槽全体に発生したアオミドロ
水槽全体に発生したアオミドロ

  • 光量
  • CO2

光合成を促進する光量、CO2また硬度の低い軟水の水草がよく育つ環境では特にアオミドロは増殖しやすいコケです。

2.アオミドロの抑制方法

アオミドロの対策は2つ、1つめは水槽に持ち込まない、少量のアオミドロが混入しただけで光量の強い水槽では大発生してしまう場合があります。2つめはアオミドロを食べるコケ取り生体を入れることです。既に発生してしまった場合はアオミドロを除去する前にあらかじめ、アオミドロが発生しづらい環境に改善してからアオミドロを除去していきます。次の1~3の手順によりアオミドロを2~4週間で完全に抑制することができます。

アオミドロ

手順(重要)
手順1水槽の掃除をする

水槽に発生した目につくアオミドロをできる限り取り除きます。次に水槽内に漂っているアオミドロをネットで掬いとります。水槽の掃除は、底床の汚れをプロホースを使い魚の糞やゴミを除去します。水換えは週2回水槽の3分の1程度の量が目安になります。

手順1.コケを取る

コケをすくい取る

手順2光量を弱める

光量は半分から3分の1に低く調整します。また点灯時間は6時間程度にします。

手順2 光量を弱める

手順3コケ取り生体を入れる

ヤマトヌマエビ・ミナミヌマエビなどコケを食べる生体を入れます。

手順3 コケ取り生体を入れる

アオミドロの発生が限定的で、大発生していない場合は、ヤマトヌマエビによる除去が効果的です。アオミドロを食べる生体はこちらの記事をご覧ください。

除去方法

通常の水槽であれば手順1~3で抑制効果がでます。しかし抑制できない場合や水草がよく育つ水草水槽の場合は、手順1~3に合わせて、除去方法によるアオミドロにダメージを与える対策が必要です。

  • ⅰ.照明を遮断する
  • ⅱ.オキシドールやコケ抑制剤を使う
ⅰ.照明を遮断する

水槽の照明を10日間程度消すだけで、アオミドロは除去することができます。この方法は水草に影響が少なく、非常に効果的でおすすめの除去方法の一つです。詳しい方法はこちらの記事をご覧ください。

10日間で簡単にアオミドロを除去できる方法
10日間で簡単にアオミドロを除去できる方法

ⅱ.オキシドールやコケ抑制剤を使う

オキシドールを水槽に添加することでアオミドロを除去することができます。オキシドールを使ったアオミドロの除去方法は藍藻類の発生原因と高速除去方法の記事を参考にしてください。

水草水槽では、あまりおすすめできる方法ではありませんが、バイコムのアルジーガードというコケ抑制剤を使うことによって、簡単にアオミドロを除去です。詳しくはこちらのバイコムのアルジーガードの記事をご覧ください。

バイコム アルジガード
バイコム アルジガード

またⅰとⅱを併用することで効果的にアオミドロにダメージを与えることができます。

アオミドロを食べる生体

アオミドロを食べるコケ取り生体を5種類紹介します。コケ取り生体はアオミドロの抑制方法により対策された状態ではじめて効果がでます。

サイアミーズフライングフォックス

コケ取り効果:★★★★★
私が管理している多くの水槽のコケ取り生体として活躍しているのはサイアミーズフライングフォックスです。デメリットは大きくなること、またエビを捕食してしまうことです。サイアミーズフライングフォックスはエビより安定したコケ取り効果が期待できます。60cm以上の中型水槽以上におすすめのコケ取り生体です。サイアミーズフライングフォックスは60cm水槽の場合2匹が目安になります。

サイアミーズフライングフォックス

ヤマトヌマエビ

コケ取り効果:★★★★☆
ヤマトヌマエビはコケ取り生体して定番のエビです。アオミドロの除去には光量を弱くしつつ、やや多めのヤマトヌマエビを入れることでコケ取り効果が発揮しやすいです。ヤマトヌマエビは60cm水槽の場合20匹が目安になります。デメリットは餌を与えている水槽ではコケ取り効果が鈍りやすくなります。

ヤマトヌマエビによるアオミドロの除去
ヤマトヌマエビ

ミナミヌマエビ

コケ取り効果:★★★★☆
ミナミヌマエビは小型水槽やボトルアクアリウムなど小さい水槽のコケ取り生体としておすすめです。デメリットはヤマトヌマエビより小さい為、熱帯魚に捕食されやすいです。水槽内での繁殖も容易なのも魅力です。ミナミヌマエビは60cm水槽の場合20~30匹が目安になります。

ミナミヌマエビ

ブラックモーリー

コケ取り効果:★★★☆☆
ブラックモーリーは水槽に入れてすぐにアオミドロを食べている様子が確認できます。しかしサイアミーズやエビと比べると効果は小さく感じます。長期的にみると慢性的に発生したアオミドロもブラックモーリーを入れている水槽は除去できていることが多いです。餌が十分いきわたる水槽ではコケ取り効果を発揮しない場合があります。ブラックモーリーは60cm水槽の場合4匹が目安になります。

ブラックモーリー

プラティ

コケ取り効果:★★★☆☆
プラティは鑑賞魚として飼育されることが多い熱帯魚ですが、コケ取り効果はブラックモーリーに似ています。長期的にみると慢性的に発生したアオミドロもプラティを入れている水槽は除去できていることが多いです。プラティは60cm水槽の場合4匹が目安になります。

プラティ

立ち上げ時に発生させないためのコツ

アオミドロの抑制方法をいろいろ検証してきました。エアーレーションによる抑制効果やバクテリア剤による抑制効果など・・・、残念ながらどれも今一つ効果を感じる成果は得られませんでした。水草水槽では立ち上げ2~4週間から発生させないことが重要です。このコケは立ち上げ時になるべく光量(半分程度)を抑えて水槽を立ち上げることによって発生のリスクを最小限に抑えられます。また水槽立ち上げて水が透明になりだす3~7日以内にヤマトヌマエビやミナミヌマエビなどコケ取りのエビを入れておくと発生の抑制に繋がります。また水槽内に栄養分がある場合、アオミドロは茶色~緑色になり水換え頻度の目安になります。白色の場合は栄養分が少ない状態で、光量とCO2量を減らすことで繁殖を抑制できます。

立ち上げ時の30cmキューブ水槽

吊り下げで光量が調整できるアクロ TRIANGLE LED BRIGHT 300を水槽から約30cm程度の高さに設置しています。水換えは初週2回、栄養分の少ないプラチナソイルにより、その後はガラス面のコケを観察しながら2週間に1回程度の水換えで管理しています。生体はミナミヌマエビ10匹を立ち上げ3日目に入れて、魚はまだ入れていません。

立ち上げから55日目

立ち上げから3ヶ月経過した現在ではコケの発生はガラス面のコケ以外は発生していません。

発生しやすい季節

アオミドロは日照時間や気温が上がる時期(4月から5月)にアオミドロが発生しやすくなるため、アオミドロが発生しやすい水草水槽は注意が必要です。チューリップや桜など咲き終わり、日差しが少し強さを感じる、街路樹のツツジなどが咲く季節から注意が必要になります。アオミドロが発生しやすい水槽の対策としては、光量を弱めに調整し、クーラーファンなど水温対策を早めに準備することをおすすめします。

2.アオミドロの種類・形状

アオミドロは水槽の栄養分によって緑、茶色、白の色に変化します。また環境によって長く糸状に伸びたり、水草に絡まったりして繁殖します。アオミドロの色から分かる、水槽の栄養分の目安を紹介します。

糸状のアオミドロ
糸状のアオミドロ

栄養分が高い時に発生したアオミドロ

栄養分(硝酸塩やリン酸塩)の高い水質の場合は、アオミドロは緑色になりやすい傾向があります。アオミドロの色が緑色の場合は、水換え不足だと判断できます。ソイルで立ち上げた水槽の場合は、ソイルから発生するアンモニアが分解される2~5週間目(製品によってアンモニアの発生のタイミングが若干違いがあります。)には硝酸塩が10ppm前後になり、発生した栄養分(硝酸塩)によりアオミドロが写真の様に緑色になります。

栄養分が存在する時に発生したアオミドロ

硝酸塩が1~5ppm程度、リン酸塩が0.05~0.1ppm程度の栄養分が残っている場合は、アオミドロは薄い茶色~茶色になります。水槽立ち上げ初期の栄養分が残ってたり、生体を入れた場合は茶色のアオミドロが発生しやすいです。茶色のアオミドロが発生しているときは、同時に茶ゴケも発生している場合があります。

栄養分がない時に発生したアオミドロ

栄養分が低いほど、アオミドロは白から透明に近い色になります。写真の水槽はアンモニア、亜硝酸、硝酸塩はすべて0です。アオミドロは生体がいなく、水換えを頻繁にしている水槽でも、CO2と強い光量があれば写真のように爆発的に繁殖します。この状態で、熱帯魚を投入すると茶色のアオミドロに変化します。

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