【カリウム液肥】簡単!水草水槽の肥料の作り方

2020年10月19日

カリウム肥料の簡単な作り方からカリウム肥料の使い方まで詳しく紹介します。残留カリウム濃度の測定にはLAQUAtwinシリーズのカリウムイオンメータ(堀場アドバンスドテクノ)を使用しています。今回の記事では、前回の記事で紹介した内容を元に水槽に適した肥料の作り方を紹介します。この記事では、肥料の作り方だけではなく肥料の効果や水槽に合わせた肥料の添加量まで解説します。

1.肥料の特徴

作る肥料は水草水槽で不足しがちになるカリウム主体の液肥の作り方を紹介します。PH・KHは水草が好むPHの弱酸性、KHは上昇させない肥料を作ります。コケの発生に影響するリンや硝酸塩といった栄養分は、含まれない肥料を作ります。生体への影響は実際に使って影響がなかったことを確認しています。

自作肥料の特徴

肥料を作るメリットは2つあります。1つ目は、安く肥料を作れます。園芸肥料は安いので原料を買いそろえれば長期にわたって使える肥料が作れます。特に大型水槽や複数の水槽を管理している場合は経済的です。2つ目は、自分の水槽の傾向に合わせて肥料濃度を調整できます。デメリットは、作る手間がかかります。エビ、小型熱帯魚が飼育された水草水槽での生体への影響はありませんでした。しかしアクアリウム製品ではありませんのでトラブルは自己責任になります。

メリット・デメリット

2.肥料の作り方

作り方は簡単です。水耕栽培用の硫酸カリウムを精製水に混ぜるだけです。作る液肥は市販されている肥料のカリウム濃度より低い濃度に調整しています。

使うもの
硫酸カリウム

今回使用した硫酸カリウムは、水耕栽培用の肥料を使い水に完全に溶ける、粉末状のものを使いました。園芸用にも、硫酸カリウムの製品はありますが水に溶かすと白く濁り沈殿物が発生します。沈殿物はろ過して、不純物は除去できますが、作業が面倒なので、水耕栽培用の硫酸カリウムを使用しました。今回使用した下の写真の硫酸カリウムはこちらのサイトで購入しました。

使用した水耕栽培用の硫酸カリウム

精製水

精製水

水は不純物を含まない、薬局で売っている精製水を使います。

容器

ボトルは、何でもよいですが1プッシュが何mlになるか確認が重要になります。もし1プッシュが2mlであれば、硫酸カリウムの量を半分にしてください。今回使うボトルは、1プッシュ、1mlの量を添加できる市販の液肥が入っていたボトルを使いました。1プッシュ何mlなのか正確に測るには、10回プッシュした量を測りで測定して、その10分の1の量が1プッシュになります。10回プッシュして15mlなら1プッシュ1.5mlになります。

プッシュ式の容器

計り

はかりは硫酸カリウムを測定するために使います。0.1g単位で測定できるものが使いやすいです。水草動画が使用したのはタニタKD-321という機種を使っています。このタイプは水量のmlの単位でも測定できるので、精製水の量を測る際も使っています。

計り タニタ KD-321

作る手順

硫酸カリウムを精製水100mlに対して4gを溶かします。500mlの容器の場合は20g、180mlの場合は7.2gを溶かします。1プッシュ1mlの時の硫酸カリウムの量になります。

液肥作成の手順

3.肥料の効果

作った肥料を約1か月間添加した水草への効果と水質への影響を紹介します。

水草への効果

カリウムの添加により、どのような効果があったか水草の効果と水質の影響を紹介します。カリウムを添加することで、有茎草の成長が少し早くなる印象を受けました。元気のない水草が復活するような効果は今回の観察では得られませんでした。水槽全体としては、大きな変化は感じられませんが有茎草がやや改善されるかな?という印象を受けます。

水草の効果

水質への影響

水質の影響は、PHとKHをチェックします。水質に変化があったのはTDS(伝導率)です。やや伝導率が上昇しました。TDSの上昇の原因は硫酸カリウムに含まれる不純物が原因と考えられます。PHは上昇していますが、測定方法を試薬液からPHメーターに変えたことが影響しています。

水質の影響

4.残留カリウム濃度チェック

今回カリウムの液肥の作り方を紹介する上で重要視したのが、添加後の残留カリウム濃度です。これは市販の製品も同じことが言えるのですがカリウム添加の目安が分かることが大切です。カリウムを添加した複数の水草水槽で残留カリウム濃度を測定しました。この方法を繰り返し、添加量を調整し水槽の傾向に合った、添加量を紹介しています。残留カリウム濃度は水槽によって違ってきます。毎日1ml添加した30cmキューブ水槽です。魚の数が少なく、有茎草が多い水槽です。毎日添加しても3ppm以下でカリウム濃度は上昇しませんでした。毎日6ml添加した60cmワイド水槽です。魚の数が多く、有茎草が少ない水槽です。残留カリウム濃度の測定はラクアツインシリーズのカリウムイオンメータを使用しています。この測定により、水槽環境の違いによるカリウムの消費量の違いが把握できました。カリウム測定は水草水槽では測定する機会はほとんどありません。しかし肥料を作る場合や、残留カリウム濃度を把握する際は非常に便利です。この水槽はカリウムが蓄積し、4ppm以上になります。測定結果は、約1か月間カリウムを添加している水槽です。

濃度の確認に使用したラクアツインのカリウムイオンメータ

カリウム添加によって硝酸とリンは減少するのか?

リービッヒの最小律はリンや硝酸塩の栄養分の消費には不足している栄養分(カリウム)を補うことが大切とされています。

リービッヒの最小律

2本の水槽に1か月間、カリウムを添加した際のリンと硝酸塩の消費量の変化を確認しました。市販の肥料と今回作った肥料の2種類を使って硝酸塩とリン酸塩の消費の変化を比較してしています。結果はカリウムの添加により、コケの原因となるリンや硝酸塩を減らす効果は確認できませんでした。逆にカリウム添加がなく、カリウムが検出されない水槽でも十分な光合成量がある水槽では、リンや硝酸塩は完全に消費されます。現在ではリービッヒの最小律は「各要素が互いに補う場合があり最小律は必ずしも定まるものではない」とされているそうです。

カリウム添加による硝酸・リンの消費

5.カリウム添加の目安

カリウム添加は水槽の傾向に合わせてカリウムが蓄積しすぎないような添加が重要です。カリウムは他の栄養分と比べてコケの影響が少ない栄養分です。過剰にカリウムを添加してもわからないことが多いです。過剰なカリウムは水草に悪影響を与える場合があります。水草が少なかったり、生体が多い水槽はカリウム添加は少量、または添加は不要な場合があります。硝酸塩が多く蓄積するような栄養分の吸収が少ない水槽のカリウム添加は1~2週間に1回の添加が目安です。成長の早い水草が多く、硝酸塩やリンが蓄積しない水槽のカリウム添加は1~2日に1回の添加が目安です。また水替えやトリミング後のカリウム添加は控え3~4日後の添加が良いと感じます。今回の肥料の作り方や添加方法は経験と水質データをもとに解説した一例です。もし不明点などご意見ありましたらこちらの動画のコメント欄にいただけたら嬉しいです。改善点などはこの記事に追記します。カリウム添加が必要な水槽ではニトロ系(窒素)の栄養分も重要になることがあります。ニトロ系の肥料の作り方も紹介する予定です。

カリウム添加量

6.動画解説

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