水草の種類に適した水質を知ろう(炭酸塩硬度・KH)

2023年9月14日

この記事では水草の育てやすい水質を知ることで水草の育て方や水草の選び方がわかります。水草を育成していると、水草が育たなかったり突然水草の成長が悪くなることがあります。水草が育たない原因には、光量不足、CO2不足などがありますが、水質も水草の成長に大きく影響します。

1.水草が育ちやすい水質


水草は硬度の低い軟水を好む種類が多いです。まず初めに確認することは、お住まいの水道水の水質の傾向を確認することが大切です。硬度はお住まいの地域で大きく違います。硬度の値は、中央値と最大値の2つの硬度を表記しています。

全国硬度

東北、北海道の硬度の中央値は1.6、1.7°dHと低く関東の硬度の中央値は3.8°dHと高いことがわかります。このように関東は、東北、北海道に比べて水草の育成に不向きな水質の地域が多いということがわかります。以前聞いたADAスタッフさんの話では新潟のADAギャラリーにある水槽を都内に展示する場合は、水質を調整する必要のある水槽がでてくるそうです。各地域の最大値からわかるように同じ地域でも水源が違うと硬度が大きく違う場合があります。東北や北海道でも硬度が高い地域があります。水槽の水質測定の前にお住まいの水道局の水質データのチェックをおすすめします。

地名 中央値 最大値
全国 2.5°dH 16.5°dH
北海道 1.6°dH 13.3°dH
東北 1.7°dH 12.7°dH
関東 3.8°dH 11.5°dH
中部 2.1°dH 12.8°dH
近畿 2.4°dH 7.0°dH
中国 2.0°dH 9.3°dH
四国 2.7°dH 11.0°dH
九州 2.6°dH 16.5°dH
沖縄 2.8°dH 12.0°dH

2.KHの特徴と測定方法

アクアリウムの硬度をチェックする方法としてGH(総硬度)とKH(炭酸塩硬度)の2種類があります。炭酸塩硬度は試薬液のタイプが使いやすいです。動画内では定番のテトラのKHの試薬液を使っています。KH(炭酸塩硬度)はアクアリウム界で使われているもので水道局の硬度の値とは違います。KH(炭酸塩硬度)は硬度のPH(酸性・アルカリ性)に影響する成分を数値化したものになります。KH値が低いとPHは酸性に傾きやすくなります。KH値が高いとPHはアルカリ性に傾きやすくなります。水草水槽では、KH(炭酸塩硬度)を測定することで水槽の水草の育てやすさの目安の値が確認できます。

炭酸塩硬度・KHの測定方法

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測定方法

それでは水道水と2本の水槽のKHの値を測定します。最初に水道水の水を注射器でとります。測定する水5mlを付属の試験管に入れていきます。2番目の試験管には石を使った水草水槽の水です。底床はソイルを使っています。3番目の試験管には足し水で管理した水草水槽の水です。底床はソイルを使っています。
続いて順番に、試薬液を点滴していきます。試験管の色が青から黄色になった滴数がKHの値になります。

炭酸塩硬度の測定結果

  • 水道水
  • 真ん中底床ソイル、石を使っている水草水槽
  • 底床ソイル、生体はエビのみの足し水で管理した水草水槽

3.KHが上げる原因・下がる原因

水道水のKHの値は2~3°dHが多いです。水草水槽ではソイルにより0~2°dHまでに下げることができます。ソイルが劣化しだすと徐々に上がり、水道水の値と変わらなくなります。また水槽内にカルシウムやマグネシウム分を含んだ砂利、石、サンゴなどがある場合は、硬度を上昇させます。さらにCO2を添加するとこでカルシウムやマグネシウム分がCO2に反応して水中に溶け出しさらに硬度を上昇させます。このように石や砂利などレイアウト素材を選ぶ際はCO2に反応して、硬度を上昇させないレイアウト素材を選ぶ必要があります。

4.水質に合わせた水草の選び方

水草はKH(炭酸塩硬度)が0.5~1.5°dHを維持できればほぼすべての水草に適しているといっていいでしょう。KHの値から育てやすい水草の目安を紹介します。

水質に合わせた水草の選び方

  • 4.0°dH以上バリスネリア、マツモ
  • 4.0°dH以下パールグラス、ハイグロフィラ ピンナティフィダ、ボルビティス ヒュディロティ
  • 3.0°dH以下グリーンロタラ、ルドウィジア スーパーレッド、ヘアーグラス、グロッソスティグマ
  • 2.0°dH以下ウォーターローン、リスノシッポ、マクランドラ
  • 0~1.0°dHトニナ

4.0°dH以上に適応できる水草は、丈夫で初心者向けの水草が多いです。4.0°dH以下に適した水草は砂利や石組レイアウトなどの水槽でも適応できる水草が多いです。3.0°dH以下に適した水草は、砂利、ソイルで育成できる水草です。硬度が高い地域や石を使った水槽の場合は、成長不良になることがあります。2.0°dH以下に適した水草は、底床はソイルの育成が育てやすいです。硬度の低い地域以外では、硬度が上昇してくると成長不良になりやすいです。1°dH以下は、特別に低い軟水を好む育成が難しいとされる水草が多いです。ソイルやRO水での水質管理が必要になります。水草の好む水質を知ることで自分の水槽で育てやすい水草を選ぶことができます。また水草の好む水質に調整できるようになると難易度の高い水草を美しく育てることもできるようになります。KHを下げる具体的な方法はこちらの記事をご覧ください。

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