5.熱帯魚の飼い方

2023年9月21日

5.熱帯魚の飼い方

これから熱帯魚を飼育したい初心者向けの熱帯魚の選び方やおすすめの熱帯魚の紹介、さらに綺麗な水槽の管理方法まで詳しく熱帯魚の飼育方法を紹介します。

1.熱帯魚飼育の基本

熱帯魚飼育の基本
熱帯魚飼育の基本

熱帯魚飼育の基本は、初心者の方が熱帯魚飼育の前に最低限知っておいてほしい内容になります。餌の与える量は非常に重要で、与えすぎることによってコケの原因になります。餌は一般的に1日2回与える説明が多いですが、水草動画ブログでは綺麗な水槽を維持するために1日1回を推奨しています。1日1回にすることで、コケの発生や水質悪化による病気の発生のリスクを減らすことができます。水温管理は熱帯魚や水草の健康状態を保つために非常に重要です。水温は25℃前後の水温が理想です。23℃以下は熱帯魚には低すぎ、また真夏などは30℃を越えると、小型魚など種類によっては健康を維持できずに死んでしまう場合があります。水温管理はヒーターの設置と、夏にはクーラーの設置が必要な場合があります。クーラーは小さい扇風機のような冷却ファンなど安価で導入しやすい製品があります。照明時間は照明の強い水草水槽の場合はコケの発生を考えて7時間~10時間、照明が弱い熱帯魚水槽の場合は10~12時間が良いです。タイマーを使うことよって帰宅時間に点灯させるなど観賞時間に合わせて照明を点灯できます。水槽の掃除の際の水替えは、水道水の塩素を中和する(カルキ抜き)必要があります。水替えの回数は週に1~2回が理想ですが、魚の数や水草の量によって水替えの頻度を調整することができます。

熱帯魚の種類

熱帯魚には様々な種類がいます。熱帯魚の種類によって性格や大きさ、初心者に向いた種類の魚など様々です。種類によって、好む水質があるので、似た環境を好む魚を選ぶとよいでしょう。水草水槽では小型水槽の場合、2㎝~5㎝程度、中型水槽では2㎝~8㎝程度、大型水槽はでは3㎝~15㎝程度の小型魚から中型魚の魚の種類が飼育しやすいです。

カラシンの仲間

カラシンの仲間は、ネオンテトラ、レッドファントムやレッドプリステラマジナータス・ペンシルフィッシュラミーノーズテトラなど水草水槽に適した美しい魚が多い種類です。はじめて熱帯魚を飼育する初心者にも飼育しやすい熱帯魚が多くいます。

カラシンの仲間
カラシンの仲間

ラスボラ(コイ科)の仲間

ラスボラの仲間はコイ科に属する種類の熱帯魚です。小型魚はアカヒレ(コッピー)、ラスボラ・ヘテロモルファ、ボララス・マキュラータミクロラスボラsp.ハナビブルーアイ・ラスボラなど丈夫で初心者でも飼育しやすい種類の熱帯魚が多くいます。

ラスボラ(コイ科)の仲間
ラスボラ(コイ科)の仲間

メダカの仲間

メダカの仲間は、丈夫で飼育しやすい熱帯魚の種類です。グッピー、プラティ、シルバーライヤーモーリーなどは初心者には定番の熱帯魚です。また目が青く光るアフリカン・ランプアイも人気の種類です。

メダカの仲間
メダカの仲間

コリドラスの仲間

コリドラスの仲間は、底層を泳ぐナマズの仲間の熱帯魚です。体長5㎝ほどのコリドラス・パンダ、コリドラス・ステルバイが人気です。3㎝ほどの可愛いコリドラス・ピグミーコリドラス・ハブローススなど小さいコリドラスもいます。

コリドラスの仲間
コリドラスの仲間

グラミーの仲間

グラミーはラビリンスという触角のような補助呼吸器があるのが特徴の魚です。ゴールデンハニー・ドワーフグラミー、ネオン・ドワーフグラミーなど初心者でも飼育しやすい美しい種類がいます。チョコレートグラミーは、一見地味に見えますが愛好家も多く魅力あるグラミーです。

グラミーの仲間
グラミーの仲間

シクリッドの仲間

シクリッドには、エンゼルフィッシュやディスカスなど熱帯魚を代表する種類がいます。シクリッドはペアを作り産卵する種類が多くブリーディングを楽しめる種類の熱帯魚です。またキフォティラピア フロントーサなどのアフリカンシクリッドは、マラウイ湖、タンガニーカ湖、ヴィクトリア湖に生息している海水魚のような美しい色彩の熱帯魚です。残念ながらアフリカンシクリッドは弱アルカリ性の水質を好むため水草水槽での飼育には適していません。

シクリッドの仲間
シクリッドの仲間

大型魚・古代魚

大型魚には、古代魚やナマズの仲間が多くいます。古代魚にはアロワナ、ポリプテルス、ガーなど見た目がかっこよく男性に人気の熱帯魚です。大きくなる熱帯魚なので大型水槽で飼育が必要になります。

大型魚・古代魚
大型魚・古代魚

2.熱帯魚の選び方

熱帯魚の選び方は、初心者におすすめの熱帯魚、小型水槽におすすめの熱帯魚、水草水槽におすすめの熱帯魚、購入時に注意しておきたい熱帯魚などを紹介します。

熱帯魚の種類と初心者向け熱帯魚
熱帯魚の種類と初心者向け熱帯魚

初心者におすすめの熱帯魚

はじめての熱帯魚選びは、丈夫で温和で飼育しやすい美しい熱帯魚を選ぶことをおすすめします。温和な性格の熱帯魚は種類の違った魚同士でも一緒に飼育できる熱帯魚になります。温和で美しいネオン・テトラは、ショップでもはじめて飼育する熱帯魚として初心者の方に勧められる定番の熱帯魚です。ネオンテトラと同様に飼育しやすい熱帯魚は、ゴールデンハニードワーフグラミーシルバーチップ・テトラ、コリドラス・パンダもおすすめです。また紹介した熱帯魚は安くてショップでも購入しやすい熱帯魚です。

初心者におすすめの熱帯魚
初心者におすすめの熱帯魚

小型水槽におすすめの熱帯魚

30㎝水槽などの小型水槽では、2~4㎝前後の小型の熱帯魚がおすすめです。透明感とヒレの黒の白のコントラストが美しいプリステラや、美しいオレンジ色に染まる2㎝ほどのレッドテトラディープレッドホタルテトラは小型水草水槽にぴったりな熱帯魚です。底層には3㎝ほどのコリドラス・ピグミーなどコリドラスをいれることで、見ていて楽しい水槽になることでしょう。

小型水槽におすすめの熱帯魚
小型水槽におすすめの熱帯魚

水草水槽におすすめの熱帯魚

水草水槽は、レイアウトに合わせた熱帯魚を選びます。石組みレイアウトでは青系のカージナル・テトラやグリーネオンテトラ、明るいライトグリーンの有形水草を使った流木レイアウトでは赤系のレッドファントム、ラミーノーズ・テトラが水槽を引き立たせます。またミクロソリウムなどの緑の濃い陰性水草を使ったレイアウトでは、ラスボラ・ヘテロモルファやラスボラアクセルロディ ブルーなどコイ科の種類がよく似合います。

水草水槽におすすめの熱帯魚
水草水槽におすすめの熱帯魚

美しくなる熱帯魚

ショップでは地味に見えても、飼育している間に魚が美しい姿に変化する熱帯魚も多くいます。そんな地味な熱帯魚が綺麗な状態に変化するのもアクアリウムの魅力の一つです。赤く染まるレッドプリステラ、レッドファントム、メタリックに輝く緑が美しいミクロラスボラブルーネオン(中級者向け~)、美しい模様のミクロラスボラsp.ハナビ、緑と赤が美しいグリーンファイヤーテトラ(中級者向け~)、ダイヤモンドを散りばめたような体色のワイツマニー・テトラ(中級者向け~)など美しい熱帯魚が多くいます。

美しくなる熱帯魚
美しくなる熱帯魚

見ていて飽きない、特徴のある熱帯魚

熱帯魚には、綺麗な熱帯魚だけではなく、愛嬌のある可愛らしい熱帯魚がいます。形や泳ぎ方など個性あふれる魅力ある熱帯魚を選ぶこともアクアリウムを楽しみの一つです。コリドラスは底床をいつも餌を底床の掃除屋さんです。オトシンクルスは、水草の葉についたコケを取ってくれる強い味方です。グラミーやペンシルフィッシュは愛嬌のある泳ぎが魅力の熱帯魚の種類です。

見ていて飽きない、特徴のある熱帯魚
見ていて飽きない、特徴のある熱帯魚

購入前に知っておきたいこと

熱帯魚には、美しさとは反面、気が荒かったり、複数の種類の魚を入れた混泳水槽に適さない熱帯魚がいます。またショップで売られている時点では小さかったのに、飼育したら大きくなってしまう魚など購入時に注意したい熱帯魚を紹介します。

性格のきつい・荒い熱帯魚
  • ベタベタは闘魚としても有名な美しい魚ですが、オス同士入れるとどちらが死ぬまで争います。
  • ブルーテトラ非常に性格が荒く、同サイズのカラシンなどに攻撃的に争います。
  • スマトラしましま模様が可愛らし魚ですが、グッピー、グラミー、エンゼルフィッシュなどゆっくり泳ぐ魚のヒレをかじったりします。スマトラによく似たブラックルビーも同様の性格です。
  • エンゼルフィッシュエンゼルフィッシュは13~20㎝まで成長し、ネオンテトラなど口に入る小型魚を捕食します。小型魚との混泳はレッドファントムやグラミーなど体型に高さがある小型魚を選ぶと良いでしょう。
  • アベニーパファーフグの仲間のアベニーパファーは他の魚をかじる習性があり、スマトラと同様に泳ぎがゆっくりな魚との混泳水槽には向いていません。
性格のきつい・荒い熱帯魚
性格のきつい・荒い熱帯魚
水草を食べてしまう魚

水草を食べてしまう草食性の強い熱帯魚は、グリーンネオンテトラ、コンゴテトラ、レモンテトラなどは草食性の強い熱帯魚です。柔らかい水草は食べられやすい傾向があります。

水草を食べてしまう熱帯魚
水草を食べてしまう熱帯魚

ヤマトヌマエビを食べてしまう熱帯魚

ヤマトヌマエビを食べてしまう熱帯魚はエンゼルフィッシュ、アベニーパファー、その他カラシンや小型魚もヤマトヌマエビを餌と認識してしまった場合は襲うことがあります。

大きくなる熱帯魚

大型魚はショップでは5~10㎝程度での大きさで売られていることが多く、飼育環境によっては50㎝以上まで成長します。アロワナやガーパイクなど古代魚やナマズの仲間は大きくなる魚が多いので注意が必要です。

失敗しないための購入方法

知らない熱帯魚は、まず調べたり、ショップの店員に確認してから購入することが大切です。自分の水槽のサイズや、今飼育している水槽の環境に適しているか確認することが重要です。また購入時にショップの店員は元気の状態の良い個体を選らんでくれるので、注文時には自分の水槽に合わせた希望の魚の大きさなどを伝えるとよいでしょう。

水槽の大きさと熱帯魚の飼育できる数

熱帯魚の飼育できる数は、水槽の水量に合わせた飼育数が重要です。飼育数が多すぎると、コケの発生や病気の発生の原因になります。一般的には熱帯魚の大きさ1㎝に対して1Lが目安となり、ネオンテトラなど小魚3㎝程度は60㎝水槽であれば、60Lの水量で20匹が理想の飼育数といわれています。図の表では、より正確な飼育数を算出するために、水槽の立ち上げ経過と水草の光合成量によって飼育数を表しています。ソイルで立ち上げた30㎝キューブ水槽の場合、最初の約2週間毎日水替えを行いその間の飼育数は0匹、ソイルのアンモニアが抜ける2週間過ぎから水槽の状態を見ながら3㎝ほどの熱帯魚約5匹を入れます。さらに3~4週間後に小型魚を5匹~10匹程度入れます。水草が良く茂った水槽では、魚を多目に飼育できるようになります。逆に水草が少ない水槽では飼育数は抑えることで水質管理が安定できます。いろいろな種類の熱帯魚を飼育したいところですが、できる限り水槽には熱帯魚の数を抑えることで病気やコケの発生のリスクを軽減でき管理しやすい綺麗な水槽ができます。

30㎝から60㎝水槽の熱帯魚の飼育できる数
30㎝から60㎝水槽の熱帯魚の飼育できる数

3.熱帯魚の飼い方

熱帯魚の飼い方は、購入した熱帯魚を水槽に入れる方法から餌の与え方まで初心者向けに詳しく紹介します。

熱帯魚の飼い方
熱帯魚の飼い方

熱帯魚の水槽への導入方法

購入した熱帯魚を安全に水槽に入れる手順を解説していきます。

熱帯魚の水槽の入れ方(導入方法)
熱帯魚の水槽の入れ方(導入方法)

  1. あらかじめ水槽の水を1/3程度抜いて水位を下げてから、袋を開けないで水槽に10~20分程度浮かせて水温合わせをします。30㎝水槽など小型水槽では熱帯魚の袋を浮かせることができない場合があります。その場合は水槽の水をバケツに入れ替えてバケツの中で水温合わせをします。
  2. 水温合わせをしている間に、袋の中の熱帯魚を確認してください。ネットショップで購入した際は、死んでいる魚がいる場合は死着の扱いになり写真を撮ってメールで送ることで補償されることがあります。袋を開けてしまうと補償外になるので注意が必要です。ネットショップ以外の直接お店で購入した場合は、補償されることは通常はありません。
  3. 水温合わせが終わったら、次に水槽から袋をバケツに移し、袋を開けます。袋からバケツに熱帯魚を移します。この時、ビニールに魚が残っていたり、バケツの外に飛び出してしまう魚がいないか、バケツの熱帯魚の数を確認してください。
  4. 水合わせは20分~30分程度の水合わせをします。水合わせは、バケツに、水槽の水を徐々に足していきます。1(購入した袋の水):2(水槽の水)程度の割合になるようにして水合わせをします。デリケートな熱帯魚の場合は、1時間程度じっくり水合わせをするとよいでしょう。
  5. 水合わせが終わったら、水槽に入れていきます。この時なるべくバケツの水は水槽に入れないようにします。(水槽に病原菌を持ち込まない為に袋の水は水槽に入れない。)網ですくい水槽に入れてきます。
  6. 最後に水槽に入れた熱帯魚の数を確認します。バケツや床などに魚が飛び出していないか確認します。
餌の種類

熱帯魚の餌やりの時間は、熱帯魚飼育の楽しみの一つでもあり、また上手に熱帯魚を飼育するための重要なポイントになります。様々な餌の種類をどう選んで与えていくのか、餌の種類と餌の与え方(頻度や量)を紹介していきます。餌の種類は人工飼料、冷凍餌、生餌など非常に多くの種類の餌があります。

餌の与え方
餌の与え方

フレーク状の餌

フレーク状の餌は、熱帯魚の定番の餌です。フレーク状の餌の特徴は、浮遊性が強く餌がいきわたりやすいのが特徴です。また製品の改良により水が汚れずらいのも特徴です。水草動画ブログが使っている餌は、テトラのカラシンベーシックやテトラミンスーパーを与えています。カラシンベーシックは小型魚用です。テトラミンスーパーは小型魚から中型魚全般に与えられる餌の大きさのタイプです。フレーク状の餌は、浮遊性が強い為に底層にいるコリドラスなどにに餌がいきわたらないことがあるので注意が必要です。

顆粒タイプの餌

顆粒タイプは、浮遊性がありつつしばらくすると沈む傾向があります。メーカーから様々なタイプの餌が出ており、栄養価の高いディスカスフードや色揚げ用など、魚の種類に合わせた顆粒タイプの餌が販売されています。栄養価が高いので、若干水槽の水は汚れやすくなりますが、フレークよりは食いつきは良い印象です。水草動画ブログが使っているのはひかりクレストカラシンという餌を与えています。

冷凍餌

冷凍餌は、ミジンコや赤虫、ブラインシュリンプなどを凍らして、使いやすくブロック単位で与えられるようになった餌が販売されています。人工飼料と比べて非常に食いつきがよく与えやすい餌です。冷凍餌の与え方は、フィーダーカップを使うと与えやすいです。デメリットは、若干割高です、また栄養価が高いため水も汚れやすいです。デリケートな熱帯魚や食いつきの悪い魚がいる場合にはおすすめの餌です。

コリドラス用の餌

浮遊性の強い餌を与えていると、コリドラスなど底層を泳ぐ魚に餌がいきわたらないことががあります。そのため底層を泳ぐコリドラスなどがいる場合は、沈降性の強いコリドラス用の餌を与える必要があります。水草動画ブログではひかりクレスト コリドラスを与えています。与え方はフレークや顆粒タイプと合わせ、コリドラス用の餌を数粒一緒に与えています。

生餌

生餌は、イトメ(糸ミミズ)、ブラインシュリンプなどがあります。イトメは栄養価も高く食いつきのよい与えやすい餌です。ショップで一袋150円/10g程度で販売されています。生き餌の与え方は、フィーダーカップを使うと与えやすいです。イトミミズの保管方法は小さい容器に入れ替えて冷蔵庫に保管すると良いでしょう。毎日容器の水を水道水で交換してやることで約1~2週間保管できます。

稚魚用の餌

稚魚用の餌は、稚魚用の人工飼料や冷凍餌(ブラインシュリンプ)、ブラインシュリンプなどがあります。グッピーやプラティなどの卵胎生の稚魚は通常のフレーク状の餌を細かくして代用もできますが、ブラインシュリンプなどを与えるとより食いつきがよく成長が良いです。小型のシクリッドやカラシンなど小型熱帯魚の稚魚は、ブラインシュリンプなど通常の稚魚用の餌でも大きすぎる場合があります。その場合はレタスやキャベツを腐敗させてインフゾリアを沸かして与えます。

餌の与え方
はじめて餌を与えるタイミング

熱帯魚を水槽に入れて、最初に餌を与えるタイミングは、初日は餌を与えず翌日に与えるようにします。初日は魚が落ち着かない状態により消化不良を起こす可能性があり、落ち着き始める翌日に与えるようにします。

餌を与える時間

餌を与える時間は、照明がついてから30分から1時間程度に与えるのよがいでしょう。照明が点灯して、魚が活動しはじめたときが一番食欲があり、魚の食いつきが良いです。したがって餌を与える時間の30分前くらいに照明を点灯するようにタイマーを設定しておくと、毎日規則正しく餌を与えられます。

与える量と回数(頻度)

餌は、1日1回、すべての魚にいきわたる量を与えます。1回の量の目安は2~3分で食べきる量が適量です。はじめてあたえるときは、少な目に与えて、どの程度で食べきるか確認しながら与えるとよいでしょう。

食べ残しが出た場合

30分たっても食べられない餌はその場で、餌を救い出します。底に残っている場合は、プロホースで吸い取ります。

餌を食べない場合

熱帯魚の種類によっては餌を食べなかったり、口に入れても吐き出してしまう場合あがります。特にフレーク状の餌は、食べてもすぐ吐き出してしまう場合があります。水槽に入れたばかりは食いつきが悪い場合があり、水槽に入れてから1~2週間もすると食べるようになります。それでも食いつきが悪い場合は、冷凍餌のミジンコ、ベビーブラインシュリンプなどを与えると良いでしょう。それでも食いつきが悪い場合は、生餌などブラインシュリンプを沸かして与えるとよいでしょう。餌を食べない場合の対策は、今与えている餌に慣らしていく、それでも食べないで痩せるようであれば、餌の種類を変えて様子をみます。一番食べる餌は生餌になりますが、手間を考えると人工飼料または、冷凍餌を食べるように慣らしていくのが理想的です。

4.熱帯魚の病気と寿命

熱帯魚の病気の原因

熱帯魚の病気の原因は人間の病気と同様に、感染やストレスが原因で発症します。特に病気が発生しやすいタイミングは、購入して水槽にいれてから1~3週間前後が病気にかかりやすい傾向があります。水槽に入れたばかりの魚は、運搬時のストレスや水質変化のストレスによる弱体化により、病気にかかりやすい場合があります。また購入した魚から病原菌を持ち込んでしまう場合があります。また水槽に入れる際に網などでヒレや体に傷ができた場合そこから感染する場合があります。また魚の数が多い水槽や水替えの少ない水槽といった汚れが蓄積した水槽でも病気が発生しやすいです。

  • 購入した熱帯魚から病気が感染することが多い
  • 栄養分(硝酸塩)が蓄積した水質は病気にかかりやすい
  • 季節の変わり目の温度変化が激しい時期は白点病にかかりやすい
  • 寿命が近いなど体力がないと病気にかかりやすい
熱帯魚の病気の種類
熱帯魚の病気
熱帯魚の病気
白点病

白点病は熱帯魚で感染しやすい病気です、感染力も高く適切な処置をしないと死んでしまう場合があります。白点病は感染から一定の周期で増えて増殖していきます。一度治ったと思ってもまた発生することがあるので、発症がおさまっても1週間程度は様子を見て治療を続ける必要があります。白点病の原因はウオノカイセンチュウ、学名はイクチオフチリウス・ムルチフィリィス(Ichthyophthirius multifiliis)の感染によります。白点病は英語では「white spot disease」呼ばれています。白点病は水槽内にいる仔虫から感染して、魚の皮膚の内側に寄生します。仔虫は魚に寄生できないと水中内では一日で死滅します。水中の仔虫は次のようにして魚に感染して増えていきます。

1.仔虫(水中)→2.白点病の発症(魚への感染)→3.魚から分離してシストを形成(増殖準備)→4.シストから仔虫の放出(数百~数千増殖)

薬など効果があるのは水中に漂っている1.仔虫と4.放出された仔虫に効果があります。

治療方法は、初期の発見が重要になります。初期の症状は熱帯魚が水草や石などに体をこすりつけるようなしぐさを見かけたら白点病を疑ってください。体やヒレに白いポツンポツンと発症します。初期の発見であれば、水温調整で対処できることがあります。水温は徐々に上げていき、29度まで上げるとことによって白点病を死滅させることができます。また水中に泳いでいる仔虫は唐辛子(鷹の爪)のカプサイシンが効果があります。鷹の爪は使い方は、水量10Lに1~2本が目安に、半分に切ってネットに入れて水槽に浮かせておきます。症状がひどくない場合は水温調整と鷹の爪で完治できますが、ひどい場合は市販の薬を使います。薬の場合は、用法と用量は説明書をよく読んでお使いください。投与後3~6日後に白点病がみられる場合は、水槽の水を二分の一程度交換して、また同じように薬剤を投与する必要があります。また白点病に感染して死んでしまった魚は速やかに水槽から取り除く必要があります。

カラムナリス病

カラムナリス病は、口、ヒレ、鱗などあらゆる部位に感染します。原因は細菌類であるフレキシバクター・カラムナリス(Flexibacter columnaris)の感染によるものです。水槽では水質の悪化や導入時の傷や水質変化によるストレスなどから発症することがあります。症状は体に白く濁った部分ができたり、ヒレが溶け出したようになります。症状は徐々に進行していき死にいたります。感染力もあるので初期の対処が重要です。治療方法は薬剤による治療が一般的で、グリーンFやアグテンを投与します。写真はアプロケイリクティス・マクロフタルマスに感染した症状です。水質は良好な水槽でしたが、PHの調整による水質変化によるストレスによって発症しました。その後PHを水質を安定させることによって症状は自然に改善に向かいました。

尾ぐされ病・口ぐされ病

尾ぐされ病はヒレが白く溶けたような症状の病気です。尾ぐされ病は、水草水槽など綺麗な水質の水槽でも見られる病気です。原因は細菌のフレキシバクター・カラムナリス(Flexibacter columnaris)の感染によるものでカラムナリス病の一つです。尾ぐされは慢性的にヒレが溶けた状態になり、次第に進行が進み体が白くくすんだ状態になり死にいたります。口に感染した場合は、白から赤いコブのようになります。感染力もあり初期の対処が重要になります。薬剤による治療方法はグリーンFやアグテンを投与します。

ネオン病

ネオン病は、ネオンテトラなど発色の良い体色の種類の熱帯魚に発症させる病気です。症状は体のネオンに輝ている部分の発色が薄れてしまったり、白く濁ってくるような症状です。原因は尾ぐされ病・口ぐされ病と同様に、細菌のカラムナリスの感染によるものです。治療方法は薬剤による治療方法はグリーンFやアグテンを投与します。

薬を使う際の注意

薬を使う場合は水草が枯れてしまう場合があります。水草に対応していない薬剤は、あらかじめ水草は抜いてから薬剤を投与します。またろ材に、吸着系のゼオライト、活性炭などの化学ろ材を使っている場合は濾過器から取り除きます。

病気の予防策

病気の予防方法は、3つあります。

  1. 水替えによる適切な水質管理が重要です。魚が多すぎたり、水替え回数が少ない水槽はあらゆる病気にかかりやすくなります。魚が多すぎて栄養分(硝酸塩)が蓄積しやすい水槽では病気が発生しやすくなります。
  2. 病気を持ち込まない、ショップや外部の水槽など感染リスクのある水槽の水は持ち込まないことが重要です。購入した際の魚の水合わせは必ずバケツで水合わせを行い、水合わせした水は水槽には入れない事が大切です。
  3. 季節の変わり目の温度管理を適切に行うこと、季節の変わり目など温度変化により白点病にかかりやすくなります。また冬場になると適切に水温設定をしていても、水流が弱かったりした場合、水槽内に水温差ができるので、水槽の底層の温度が保たれているか確認も大切です(手を入れて、底層が冷たくないか確認)。
熱帯魚の寿命

熱帯魚の寿命は、種類や個体差によって大きく違ってきます。グッピーやプラティなどのメダカなの仲間は、1年~2年程度、小型カラシンのネオンテトラは1年~2年程度、レッドテトラやブラックファントムなどのハイフェソブリコン(Hyphessobrycon)系のカラシンは3年~5年の寿命です。個体差は非常に大きく、比較的寿命の短いネオンテトラも3年以上いる個体もいれば、1年程度死んでしまう個体もいます。また比較的長生きするハイフェソブリコン系のカラシンは10年近くの長寿命の個体もいます。コイ科のラスボラへテロモルファやボララスマキュラータスなどラスボラの仲間は2年~3年の寿命です。シクリッドのエンゼルフィッシュやディスカスは5年~8年の寿命、アガシジーなどアピストグラマの仲間は2年~3年の寿命です。アフリカンシクリッドは、アーリーなどは5年~8年の寿命、フロントーサの仲間は15年以上の寿命です。コリドラス・パンダやコリドラス・ステルバイなどのコリドラスの仲間は3年~5年、長寿は10年近く生きる個体もいます。ナマズや古代魚の仲間では、小型のオトシンクルスは約3年、セルフィンプレコなどプレコは10年以上の寿命の魚が多いです。シルバーアロワナなどアロワナの仲間は10年以上の長い寿命の種類です。

死んでしまったら

飼育していた熱帯魚が死んでしまったら、初めての飼育で熱帯魚が死んでしまったら、死んだ魚をどうすればよいか迷います。庭がある家であれば土に埋めるという手段もありますが、マンションなどは土に埋めたりすることはできません。死んでしまっ場合は、死んだ魚を網ですくいとってビニール袋に入れて燃えるゴミで処理する方法が一般的です。魚が飛び出してしまって、干からびた魚はティッシュなどで包んで処理します。それでも10年飼育した熱帯魚は、ゴミ袋にいれることはできず、庭やベランダの花壇に返してあげることもあります。土に埋める際は深く埋め、猫などに掘り起こされないようにしましょう。

5.熱帯魚の繁殖方法

熱帯魚の繁殖は、水槽内で自然に繁殖して増えていく種類もあれば、繁殖が難しい種類もいます。繁殖は、熱帯魚の種類にあわせた繁殖方法が必要になります。自分の水槽でどのような種類の熱帯魚の繁殖できるか、まず繁殖させたい種類の産卵方法を知りその環境を用意できるか確認にしましょう。

熱帯魚の繁殖方法
熱帯魚の繁殖方法

熱帯魚の種類別の繁殖方法
グッピーやプラティーなど卵胎生の熱帯魚の繁殖方法

初心者が飼育しやすいとされているグッピー、プラティー、モーリー、レッドソードなどは、卵を胎内で孵化させて直接、子を産む卵胎生の熱帯魚です。卵を胎内で孵化させることにより、孵化率が高く比較的簡単に繁殖を楽しめる種類の熱帯魚です。繁殖方法は、腹の大きくなったメスを産卵箱に隔離して、繁殖します。産卵箱にはメスだけを入れます。稚魚は、産卵箱の下の部分に分離され親に食べられないような仕組みになっています。稚魚への餌は、稚魚用の人口飼料や冷凍ブラインシュリンプ、ブラインシュリンプなどを与えるとよいでしょう。

カラシン・ラスボラなど小型魚の繁殖方法

小型熱帯魚は、比較的容易に繁殖できる種類と、繁殖が難しい種類がいます。繁殖が比較的簡単な種類は、ラスボラ(コイ科)です。ゼブラダニオやアカヒレは繁殖しやすい魚です。カージナルテトラ、ネオンテトラなどのカラシンの仲間は比較的繁殖は難しく、混泳水槽では産卵をしても他の魚に食べられてしまう場合が多いです。ゼブラダニオやアカヒレなどは、他の熱帯魚がいる混泳水槽でも、ウィローモスなど稚魚が隠れやすい場所や、水草が茂った水槽であれば自然繁殖できます。

シクリッド・アピストグラマの繁殖方法

熱帯魚の繁殖を楽しめる種類の一つにシクリッドの種類がいます。シクリッドの仲間はペアで産卵場所をつくり、卵や稚魚を守る姿が見られる種類です。産卵時期は、性格が荒くなるのもこの種類の特徴です。代表的なのはエンゼルフィッシュ、ディスカス、ラミレジィなどの種類が有名です。混泳水槽の場合、親が危険を感じて卵を食べてしまうことがあり、落ち着いた水槽に良いペアを入れることで繁殖に成功しやすいです。産卵の前兆は、産み付ける場所のテリトリーを作り、産み付ける水草や石を口で掃除しだして、綺麗にした水草や石に産み付けます。

シクリッド・アピストグラマの繁殖方法は良いペアを作り、落ち着いた水槽環境を用意することが大切です。親にストレスなどびっくりさせてしまうと卵を食べてしまったり、無精卵などは、卵を放棄してしまったりすることがあります。無精卵は2~3日で卵が白く濁ってくるので判別ができます。産卵後は卵を別の水槽などに隔離することで、食べられずうまく稚魚を返すことができます。産卵から、3~4日(25~28度)程度で孵化がはじまります。水温が高いと孵化が早まります。孵化してから、2~3日は稚魚についているヨークサックで栄養分をとります。稚魚の大きさに合わせ、餌はインフゾリアやブラインシュリンプを与えるとよいでしょう。ラミレジィなど小さい稚魚の場合はインフゾリアという微生物を与えます。インフゾリアはキャベツやレタスを水の中で腐敗させ微生物を発生させたものです。市販ではインフゾリアの元も売られています。

コリドラスの繁殖方法

コリドラスは繁殖は難しそうなイメージがありますが、水槽内で自然繁殖も可能で、繁殖を楽しめる種類の熱帯魚です。繁殖しやすい種類はコリドラスパンダ、コリドラスパレアートゥス、コリドラスステルバイが比較的繁殖しやすいです。産卵の前兆は、お腹を大きくしたメスが、オスに追いかけられるようになります。またTの字のようにメスはオスのお腹に頭を寄せるよしぐさをみせるようになり、産卵前の前兆を確認することができます。産卵は、アマゾンソードやアヌビアスナナなど葉が硬く広いタイプの水草に産む傾向があります。水草がない場合は、水槽のガラス面に産むことが多いです。卵の隔離は、水草についた場合は、卵が付いた葉をカットします。ガラス面についた卵の取り方は、スポイトや三角定規などで取ることができます。産卵後は、卵を産卵箱や別の水槽に移し孵化させます。白く濁った無精卵やカビが映えてしまった卵はスポイトなどで取り除きます。孵化した稚魚はヨークサックから2~3日間栄養分を取ります。稚魚のヨークサックがなくったころにブラインシュリンプを与えるとよいでしょう。

6.水槽の管理方法

水槽は、小さな自然の生態環境ができます。この生態環境をうまくコントロールすることで美しい水槽を維持することができます。

熱帯魚と水草の関係

水槽内の生態環境を管理するには、熱帯魚と水草の関係が重要になります。熱帯魚は毎日餌を食べ糞を出します。この糞をバクテリアによって分解され栄養分に変わります。水槽を立ち上げた当初はこのバクテリアがいなかったり、少なかったりします。そのため熱帯魚は、バクテリアが定着しだす2週間以降に徐々に熱帯魚の数を増やす必要があります。水槽の汚れがバクテリアに分解され出すと、栄養分として水槽に蓄積していきます。
この栄養分は、魚の呼吸から出る二酸化炭素(CO2)と照明の光によって水草の光合成によって消費されます。水草は光合成は栄養分の消費と同時に酸素(O2)を放出して熱帯魚に供給します。このように自然に行われている生態環境が水槽内でもおこなわれています。しかし水槽内は限られた小さいスペースの中で、沢山の熱帯魚や水草を育てるために、うまく生態環境ができるようにコントロールする必要があります。たとえば、水草の光合成に消費するCO2は、熱帯魚が排出するCO2量では足りないことがあり、CO2を強制的に添加します。また水槽内に水草が無かったり、少なかったりした場合は、水槽内に栄養分が蓄積してコケが発生しやすくなります。このコケの発生の原因になる栄養分を定期的に水替えによって換水して綺麗な水槽を維持していきます。

綺麗な水槽を作るための管理方法

熱帯魚と水草の関係
熱帯魚と水草の関係

綺麗な水槽を作るためには、水槽を汚す原因の栄養分を蓄積させないための管理方法が重要になります。

水槽を汚す原因 魚と餌の量に比例して栄養分が発生する

コケの発生の原因の一つの栄養分は水槽の水量に対して、飼育数と与える餌の量に比例して栄養分が蓄積します。この栄養分が水槽に蓄積しないように管理することで、綺麗な水槽を維持できるようになります。栄養分が蓄積しないためのコケ対策は3つの方法があります。この3つのコケ対策を状況に応じて組み合わせて行うことで綺麗な水槽管理が行えます。

綺麗な水槽を作るための管理方法
綺麗な水槽を作るための管理方法

コケ対策1 水替えの回数や量で栄養分を取り除く

1つ目は、定期的な水替えによって栄養分を取り除きます。水替えをすることによって、水槽に蓄積した栄養分を除去し、かつ水草に必要な微量元素やCO2を供給することができます。適切な水替えの量や回数は、魚の量と餌の与え方によって調整することで、コケのでない美しい水槽を維持できます。通常は週に1回、水槽の3分の1程度を換水します。2~3日でコケが発生するようであれば、週に2回にすることでコケの発生を抑えることができます。水草と魚の数のバランスが取れた水槽ではさらに水替えの回数を減らすことができることもできます。

コケ対策2 飼育数や餌の量を調整して栄養分を減らす

2つ目は、飼育数や餌の量を調整することで、栄養分の蓄積を抑えることができます。水槽の水量に対して、魚を少なめに飼育することで栄養分の蓄積を抑え綺麗な水槽を維持できます。また1日2回など多めに与えている餌を1日1回にするだけでも、栄養分の蓄積を半分に減らすことができます。

コケ対策3 水草の光合成で栄養分を消費する

3つ目は、水草を植栽することで、水槽に蓄積する栄養分を水草に吸収させ、栄養分の蓄積を抑えることができます。熱帯魚の飼育数が多くて、通常ならコケが発生しやすい、栄養分の高い水槽でも、水草が多く植わっている水草水槽では、コケを抑えて水槽を管理することができます。さらに光合成を促進するには、CO2の強制添加が効果的です。水草水槽ではCO2が切れると、水草の光合成が減り1日でコケの発生が発生することもあります。

初めて熱帯魚を飼育する場合は、定期的な水替えと適切な餌の量が綺麗な水槽づくりのポイントとして覚えておくとよいでしょう。また、飼育数が多すぎると水替えの頻度が増えるので、あらかじめ水槽の水量と水替えの量にあった魚の数にすることが重要です。

「6.水槽のつくり方」の記事になります。小型水槽の30㎝キューブ水槽による綺麗な水槽のつくり方の手順を紹介します。

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