グロッソスティグマの育て方  失敗例と成功のコツ

2023年10月5日

グロッソスティグマ

グロッソスティグマは大好きな水草の一つです。そんなグロッソスティグマの育て方のコツや育たない原因を詳しく紹介します。初心者の方や初めて育成する方には失敗しやすい点などもわかりやすく解説します。

1.特徴

グロッソスティグマは前景用として人気の高い水草です。葉の大きさは4~7mm程度の丸い形をしています。前景を這うようにして成長して、丸い可愛らしい明るいグリーンの絨毯ができる非常に美しい水草です。グロッソスティグマを敷き詰めたレイアウトは明るい印象のレイアウトになり、泳ぐ魚たちもより美しく映ります。水槽サイズは小型水槽~大型水槽まで前景用の水草として適した水草です。水草レイアウトでは石組レイアウトから流木レイアウトまで様々なレイアウトで使われます。ネイチャーアクアリウムでもよく使われる前景用の水草です。

グロッソスティグマ
グロッソスティグマ

別名 グロッソ
学名 Glossostigma elatinoides
難易度 B-C
照明
CO2 普通
PH 6.0-7.3
KH 0.5-2.0
成長速度 早い
大きさ・高さ 小型
おすすめ度 ★★★★★

2.育て方

グロッソスティグマは、成長が早く前景用の水草としては育てやすい水草です。CO2(二酸化炭素)がない水槽でも育成は可能ですが、綺麗な絨毯を作るには強めの光量とCO2添加が重要です。底床は大磯など砂利でも可能ですが砂利の場合は難易度が上がります。底床はソイルの育成が理想で、CO2を添加することにより比較的容易に育成することができます。

植え方

植栽は束になっている状態をイラストのように数本単位に分けて植栽していきます。グロッソスティグマは成長が早いので、植栽はある程度間隔を空けて植えていきます。

グロッソスティグマの植え方
グロッソスティグマの植え方

購入時
購入時

植栽前に数本ごとにばらす
植栽前に数本ごとにばらす

植栽後のグロッソスティグマ
植栽後のグロッソスティグマ

植栽から2週間の成長記録

植栽から3日目
植栽から3日目

植栽から11日目
植栽から11日目

植栽から14日目
植栽から14日目

トリミング方法

トリミングはグロッソスティグマの成長の状態に合わせてカットしていきます。グロッソスティグマのトリミングは根っこを残して葉の部分をイラストのようにカットします。グロッソスティグマの茂みに厚みが出てきた場合は、重なっている上の部分の草を間引きます。また葉が黄色くなったり溶け出したり成長の悪い部分は根っこごと抜き取り、状態の良い草を差し戻していきます。

グロッソスティグマのトリミング方法
グロッソスティグマのトリミング方法

光量の目安

グロッソスティグマのように這う前景の水草は光量が重要です。水草用や熱帯魚用の光量の高いLED照明を使用していれば育成できます。注意点は水槽サイズの高さ(深さ)や照明から水槽までの高さ(距離)によって光量は大きく違いがでます。水槽から照明の距離を10cm広げるだけで光量は大きく減少します。水深が36cm以上ある水槽や水槽の上から照明を吊り下げて設置する場合はアクロのトライアングルシリーズなど光量の強い照明がおすすめです。

高さを調整できるアクロのトライアングル

CO2添加量の目安

グロッソスティグマはCO2量が不足していると成長が鈍り、コケが付きやすくなったり葉が小型化したりしてしまうことがあります。水槽サイズ別の添加量目安を添加して、水草から気泡が確認できるくらいの量が理想的です。CO2添加していない場合はCO2添加なしで育てるコツを参考にしてください。

3.失敗例と成功のコツ

綺麗なグロッソスティグマの絨毯を作るには、いくつかポイントがあります。またグロッソスティグマをはじめて育成する方が失敗しやすい点を紹介します。

前景をグロッソスティグマの絨毯にしたレイアウト
グロッソスティグマの絨毯

失敗しやすい水槽の特徴

失敗しやすい原因のひとつはコケの発生によりグロッソスティグマがうまく育たないことが多いです。コケの発生の原因は次の4つのケースが多いです。

  • 光量が強すぎる
  • 水換えが足りない
  • 魚が多すぎる
  • コケ取り生体がいない
光量が強いとコケは発生しやすい

グロッソスティグマの失敗しないための上手な育て方は、次の環境を整えることが重要です。

コケ対策

グロッソスティグマは底床を這って成長するため、他の有茎草と比べて光量が届きづらく、そのため強い照明で育成することが多くコケが発生しやすい場合があります。特に初心者はコケの発生しやすい水槽立ち上げ時期(1~2ヶ月)の光量や水換え頻度の目安がわからずコケを大発生させてしまい失敗することがあります。失敗しないためには、水槽立ち上げ時から1~2ヶ月は、水換えは週2回、液肥は添加しない、光量は弱めなど水槽のコケ対策を第一に水槽管理をおこなうようにします。さらにコケを発生させないために、コケ取り生体を水槽立ち上げ時に入れておくと事で、コケのトラブルのリスクを下げることができます。水槽立ち上げ時にはヤマトヌマエビやミナミヌマエビがおすすめです。その他のおすすめのコケ取り生体はこちらの記事をご覧ください。

立ち上げ初期のコケ
光量が強くアオミドロを発生させてしまった失敗例

魚を入れるタイミング

コケ対策の基本として、水槽を立ち上げてから魚を入れるタイミングが重要です。魚を入れるタイミンミグはグロッソスティグマの綺麗な絨毯ができるまでは、※コケ取り生体以外の魚は入れないようにするようにします。※既に生体がいる場合は水換え頻度の目安を参考にして水槽を管理していきます。

餌の量に比例してコケは発生する

CO2添加

グロッソスティグマは軟水を好む水草です。グロッソスティグマが育たなくなる原因は、栄養不足や光量不足より、硬度の上昇により水槽のCO2の溶解率が下がることが原因で葉の小型化や白化の減少が現れやすいです。特に石を使った水槽やソイルの劣化により、水槽立ち上げから半年過ぎると硬度が高くなり成長不良が現れやすくなります。対策としてはCO2量を増やし水槽内のCO2溶解率を上げることが重要です。

育たなくなったらまずはCO2の添加量を増やしてみましょう。溶解率を高めるには外部フィルターと接続できるトルネードCO2リアクターも効率的ですが、メンテナンス性や価格を考えると極小の気泡がでるアンビリーバブルCO2が扱いやすくおすすめです。はじめてCO2添加を検討される方はCO2器具の選び方をご覧ください。また上級者向けには、ソイルの劣化や水道水に影響されずに長期に安定して水草水槽管理ができるRO浄水器による硬度・PHを下げる 水草が育つ水質の作り方の記事も参考にしてください。

絨毯ができるまでの成長記録

植栽1週間目で水上葉から水中葉に移行する際に上に立ち上がって成長したためトリミングでカットしています。3~4週間目でほぼ絨毯は完成しています。グロッソスティグマの育成環境は、照明はアクロのトライアングル グロウ、底床はJUNのプラチナソイル パウダーを使っています。CO2添加は60Lの水槽に対して1秒に1滴の量を添加しています。肥料は立ち上げ時のソイル栄養分だけで育成しています。様子を見ながら底床にテトラ イニシャルスティックを追肥していきます。

植えやすい量に株分け

1株は葉5~10枚程度

植栽1日目

植栽5日目

植栽15日目

上に伸び上がってくる 植栽18日目

さらに上に伸びる 植栽25日目

伸びた部分をトリミング 植栽25日目

絨毯ができる 植栽59日目

4.枯れる原因・溶ける原因

グロッソスティグマが枯れたり、溶けたりする原因は様々ですが、枯れる大きな原因のひとつは、水草の光合成ができずに枯れてしまうケースが多いです。長期間光合成ができない環境では徐々に葉は小型化して枯れていきます。溶けるケースは運搬のストレスや水質の変化、また栄養系ソイルなどPHが6.0以下など極端に低い場合にも溶けてしまう場合があります。

小型化・白化・黄色

小型化・白化・黄色は、CO2不足や硬度が高い場合に起きやすい症状です。石を使った水槽、CO2添加していない水槽、ソイルを使って半年以上経過した水槽などで現れやすい症状です。目安としては水槽内の水草の葉から光合成の気泡が確認できる程度のCO2量を添加することで改善が期待できます。

食害

植栽から数日で葉がなくなってしまう場合は、水槽内に草食性の強い魚がいる可能性があります。グロッソスティグマは葉に厚みがあり、食害されにくい印象ですが、ダイヤモンドテトラなど4cm以上の草食性の強い魚は葉を食べてしまう場合があります。

草食性の強い魚(ダイヤモンドテトラ)

上に伸びる原因

グロッソスティグマは、光量が不足していると上に伸びると言われることがありますが、十分光量がある環境でも間延びしたように上に伸びてしまうことがあります。写真は光量が強い環境で育成した場合に上に間延びしたグロッソスティグマです。これは購入したグロッソスティグマが太陽光で育てたられた水上葉のグロッソスティグマを植栽した場合に間延びしてしまう場合があるようです。 対処方法は間延びしてしまった水中葉は絨毯ができるまでの成長記録のようにトリミングを繰り返すことで密度の高い茂みがつくりやすくなります。

植栽から4日目 グロッソスティグマ
上に伸びて成長したグロッソスティグマ

コケがついた場合の対処方法

グロッソスティグマの葉にコケがついてしまい枯れる場合は、水草の成長よりコケの発生が早く、悪い環境になっています。コケの発生は強い光量や水槽内の栄養分が原因です。まずコケの発生を抑制させるために、光量を弱め、次に水槽内の栄養分を減らしていきます。もし肥料を添加している場合は止めます。照明の光量は弱め、点灯時間を約6時間にします。水槽内の栄養分は水替え頻度や水換え量を増やして減らしていきます。詳しくは水槽のコケ対策 除去の手順・消えるまでの時間をご覧ください。

育たなくなったら確認すること

グロッソスティグマはさほど水質にうるさくない水草ですが、光量やCO2を十分添加しているにもかかわらず、育たなかったり枯れたりすることがあります。砂利や石を使っている場合はKH(炭酸塩硬度)が高く、CO2が効率よく溶けずに水草が吸収しづらくなっている場合があります。これは石や砂利に含まれるカルシウム、マグネシウム分が溶け出してしまい、CO2の溶け込みが悪くなるためです。また葉にコケが付着するような水槽の状態の場合は成長が悪くなります。特に水槽を立ち上げ時などコケが付着しやすくグロッソスティグマの成長を妨げます。

グロッソスティグマが思うように育たない時は次の2つの点をチェックしてみましょう。

健康状態をチェック

まず最初に水槽の水草の状態を確認します。健康な水草は葉は生き生きして、1~2週間で数センチ成長しトリミングが必要な状態になります。逆に水草が育たない環境では、葉は小型化したり、色は黄色、白化します。さらに葉にコケが付着しやすくなり、成長が悪くなります。水草が健康に成長するには光合成に必要なCO2と光が必要です。水槽ではCO2が不足がちになりやすく水草の成長不良の原因になります。光合成に必要なCO2が供給されていると水草の葉の裏から気泡が確認できます。毎日安定して光合成の気泡が確認できる状態により水草は健康に成長できるようになります。

前景をグロッソスティグマの絨毯にしたレイアウト
光合成による気泡(酸素)

前景をグロッソスティグマの絨毯にしたレイアウト
健康の場合は新芽のランナーが次々展開

水質をチェック

育ちやすい水質はKH(炭酸塩硬度)を測定することで、水槽の水草の育てやすさの目安が把握できます。KH2°dH以下の水質ではグロッソスティグマはよく育ち、KH3°dHを超えると成長不良の症状が現れやすくなります。詳しくは水草が育たない原因がわかる?水草の種類に適した水質を知ろうの記事をご覧ください。

5.肥料の追肥・添加の目安

追肥の目安は成長が早くグロッソスティグマがよく育っている状態で、さらにコケの発生が抑制された水槽の場合に追肥が効果的です。 グロッソスティグマの葉が小型化や葉の色がやや薄くなるようであれば、テトライニシャルスティックなど固形肥料をピンセットで追肥するようにします。

6.CO2添加なしで育てるコツ

グロッソスティグマは、底床をソイルを使うことでCO2添加がなくても育成できます。ソイルは水草一番プラチナソイルなど立ち上げ時にコケが発生しづらい栄養分の低いソイルを選ぶと良いです。また、硬度を上げやすい石のレイアウト素材は使わず、流木がおすすめです。水草用のLED照明は光量が強すぎるため、CO2添加していない水槽ではコケが発生しやすいので、光量を弱める必要があります。水槽全体に水草が繁茂するまでは、コケ取り以外の生体は極力いれないようにします。コケ取り生体はミナミヌマエビがおすすめです。また肥料はCO2添加していない水槽は成長が遅いためソイルの栄養分で十分育成できます。

  • 底床はソイルを使う
  • レイアウト素材は石は使わない
  • 光量は弱めに調整する
  • 液肥は使わない
  • 生体は入れない(水草が繁茂するまで)
  • ミナミヌマエビヤマトヌマエビを入れる(コケ取り生体)

7.グロッソスティグマを使ったレイアウト例

60cmワイド水槽で前景をグロッソスティグマで敷き詰めたレイアウトです。写真のグロッソスティグマは植栽から半年以上たっているものです。

前景をグロッソスティグマの絨毯にしたレイアウト
前景をグロッソスティグマの絨毯にしたレイアウト

前景をグロッソスティグマの絨毯にしたレイアウト
前景をグロッソスティグマの絨毯にしたレイアウト

前景をグロッソスティグマの絨毯にしたレイアウト
ウォーターローンが混じった絨毯

グロッソスティグマを使った石組みレイアウト

写真はネイチャーアクアリウム展で撮影したレイアウトです。水草はグロッソスティグマの1種類のみでレイアウトされています。石は龍王石が使われています。

グロッソスティグマを使った石組みレイアウト
グロッソスティグマを使った石組みレイアウト

8.価格・選び方

グロッソスティグマの購入時に意識していること、気をつけていることを紹介します。購入の際に参考にしていただければ幸いです。

購入のポイント

グロッソスティグマは30~45cm水槽であれば半ポット(半カップ)、60cm水槽は1ポット(カップ)、90cm水槽は1~2ポット(カップ)が目安になります。グロッソスティグマはCO2、光量が十分供給された環境では成長が早いので購入量は少な目で大丈夫です。

価格一覧は購入経験のあるショップやレビュー評価の高い商品を選定して紹介しています。購入目安は私の購入経験・選定を3つに分類して表記しています。

★:購入経験あり・次も購入したい

●:購入候補に入れたい

○:購入経験あり

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商品名 価格 購入目安 備考
楽天 アマゾン Yahoo!ショッピング
初心者向け説明書付 グロッソスティグマ(水上葉)(無農薬)(半パック分) 640円 640円

チャーム
グロッソスティグマ(水上葉)(無農薬)(半パック分) 640円 710円 640円 チャーム
グロッソスティグマ(水中葉)(無農薬)(半パック分) 800円 800円

チャーム
初心者向け説明書付 グロッソスティグマ(水上葉)(無農薬)(1パック分) 800円 830円 800円 チャーム
グロッソスティグマ(水上葉)(無農薬)(1パック分) 800円 1,378円 800円

チャーム
初心者向け説明書付 グロッソスティグマ(水上葉)プリンカップ(無農薬)(1個) 850円 880円 850円

チャーム
組織培養1-2-GROW! グロッソスティグマ トロピカ製(無農薬)(1カップ) 1,570円 1,540円

チャーム
初心者向け説明書付 グロッソスティグマ(水中葉)(無農薬)(1パック分)  960円 960円

チャーム
グロッソスティグマ(水中葉)(無農薬)(1パック分) 960円 960円 チャーム
初心者向け説明書付 グロッソスティグマ(水上葉)(無農薬)(3パック分)  2,230円 2,310円 2,230円 チャーム
初心者向け説明書付 グロッソスティグマ(水中葉)(無農薬)(3パック分) 2,810円 2,810円 チャーム
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