簡単に野菜・果物・土壌を測定できる硝酸イオンメータ

ラクアツイン コンパクト硝酸イオンメータを約2か月間使った感想をまとめました。使い方や正確に測定するためのポイントを紹介します。硝酸イオンメータは収穫した野菜や果物、肥料や土壌の窒素分(硝酸NO3)を測定できます。今回の硝酸イオンメータの使用は、アクアリウムの肥料作りに使用しました。アクアリウムの水草は、野菜や果物と同様の窒素、カリウム、リンなどの栄養分を必要とします。この記事では、園芸用の単肥から水草水槽用の窒素主体の液肥を作る際に使った硝酸イオンメータの使用感をレポートします。硝酸塩(窒素分)を測定したいという方に参考になる内容になっています。
1.特長
硝酸イオンメータは、用途に応じて、作物体用、土壌用、一般用の3タイプあります。詳しいスペックや仕様などはメーカーサイトをご覧ください。使用した硝酸イオンメータは、一般用を使用しています。硝酸を測定する方法は、試薬液や試験紙などがありますが、このラクアツインの硝酸イオンメータの特長は、微量(0.3ml~)の液体を測定できることが最大のメリットです。数滴の液体を測定できることで、試験紙や試薬液では測定できない野菜や果物の硝酸塩濃度が測定できます。また、正確に測定するために欠かせない校正も、少ない校正液で定期的にできるのもメリットです。さらに防水機能が付いているので、安心感があります。
- LAQUAtwin-NO3-11 一般用 NO₃⁻:6~9900ppm(mg/L)
- LAQUAtwin-NO3-11S土壌用 NO3-:30~600ppm(mg/L)
- LAQUAtwin-NO3-11C作物体用 NO3-:100~9900ppm(mg/L)
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3.使い方
使い方は簡単です、蓋を開けセンサーに測定したい液体を入れるだけです。正しい測定方法はメーカーサイトの取扱い説明書をご覧ください。
手順
- 手順1蓋を開け測定する液体を入れる。
- 手順2電源を入れる。
- 完了😃が表示されたら測定が完了
2.硝酸イオンメータ実践編
硝酸イオンメータで、4種類の肥料を測定してみました。測定は数秒で確認できます。測定は原液、希釈倍率の2つの倍率を測定した結果です。
表をご覧頂くとわかるように、希釈倍率と測定値の関係が反比例していないことがわかります。何度か測定したのですが毎回測定値が違う結果になりました。さらにハイポネックスの5700ppmの値が低すぎ、本来なら測定範囲の上限を超えるような値になるはずです。
(※1)原液は180mlの精製水に0.9gの硫安を溶かした溶液になります。
(※2)原液は180mlの精製水に0.9gの尿素を溶かした溶液になります。尿素のURは、6ppm以下を表します。
測定結果が毎回違う原因
硝酸イオンメータを正しく使っても、測定の見方によって結果が正確に読み取れない場合があります。測定するたびに数値が違ったり測定が定まらない原因は次の2つのケースが考えられます。
測定値が徐々に上がる又は下がる場合は30秒、1分、3分と安定するまで待ってから結果を確認します。ランダムになる場合は妨害イオンに影響を受けている場合があります。ランダムになる場合は測定結果の平均値を見て結果を判断します。影響を受ける妨害イオンはこちらをご覧ください
残渣
残渣(ざんさ)は大きく濃度が違う測定を続けることで、前の測定の影響を受け正しく測定できないことがあります。残渣の影響をなくすには、測定前に校正が必要になります。今回の様に、複数の肥料を倍率を変えて測定した場合など、濃度が大きく違う測定により、測定が正確に読み取れないことがあります。
正確に測定する為のポイント
詳しくメーカーさんに、使い方を教えてもらったところ、正確に測定するポイントを簡単にまとめると次のようになります。
- 定期的に測定前に校正する
- 安定しない場合は30秒、1分、3分と安定するまで待つ
- 比較する水質が大きく違う場合は、測定前に校正する(残渣を無くす為)
- 濃度は低いものから高いもを測定する(残渣の軽減)
また校正液の温度と測定する液体の温度差にも影響してきます。
硝酸塩測定の注意点
窒素系の肥料を作る際に知っておきたい、硝酸塩の測定の注意点を簡単に紹介します。通常の肥料では、窒素分〇〇%と表記されていることが多いですが、この表記は硝酸イオンメータで測定した値とは大きく違ってくることがあります。例えば、今回測定したは硫安は21%、尿素は46%の窒素分を含んでおり、これを液肥として0.5%(0.9g/180ml)にした場合、硫安は105ppm、尿素は230ppmmの濃度になります。しかし測定結果をみると硫安は24ppm、尿素はUr(6ppm以下)です。これは硫安、尿素はアンモニア主体の肥料により、硝酸塩がほとんど検出されないからです。このようにアンモニア主体の窒素系の肥料はアンモニアがバクテリアに分解され窒素分の硝酸塩になります。窒素主体の肥料で、硝酸塩が低い場合や検出されない場合は、アンモニア主体の栄養分の可能性があります。ハイポネックスはアンモニア系の肥料ではなく、硝酸塩主体の肥料分だということがわかります。
3.測定をより正確に知る方法(校正方法)
硝酸イオンメータの測定範囲は6~9900ppm(一般用)ですが、標準液の2点は150ppmと2000ppmです。校正することにより150ppm~2000ppmの範囲の測定精度が高くなります。しかし硝酸塩が低濃度の場合は、校正を10ppmmと100ppmmすることで、10ppmm~100ppmmの測定をより正確に測定することができるようになります。
10ppm-100ppm (1:14、2:1 付属の標準液150ppm:精製水)
今回は自作で、標準液を作りましたが、標準液は30ppm、300ppm、150ppm、2000ppm、5000ppmが販売されており、低い濃度の場合は30ppm、300ppmの2点を使って校正するのが良いと思います。
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4.使用感
硝酸イオンメータを使い感じたことは、測定は簡単ですが、測定前の校正や測る対象の濃度についても気を使う必要があるかなと感じました。アクアリウムの用途しては、測定範囲が6~9900ppmということもあり、低濃度が知りたい水草水槽などの測定には向いていません。硝酸塩の測定頻度が高く、海水魚、大型魚、ブリーディング水槽、金魚水槽、メダカ水槽など硝酸塩が蓄積しやすい水槽の測定には向いていると感じました。もちろん使用目的としては高濃度の液肥や肥料、さらに野菜や果物などの硝酸塩を測定するにはラクアツインの硝酸イオンメータが適しています。絞った果実の汁など少量の液体を測れるなど、利用シーンが広い製品だなと感じました。また正確に測る為の校正機能は、さすが日本製、堀場アドバンスドテクノだなぁっと関心しました。