おすすめのヒーターの選び方 ~寿命と故障の原因~

2023年2月7日

熱帯魚水槽や水草水槽では欠かせない水温管理について、共有したい経験をわかりやすく紹介します。これからアクアリウムを始める初心者の方からヒーターの交換のタイミングや寿命について知りたい経験者の方まで役立つ記事になっています。個人の経験だけではなく、メーカー3社に問い合わせ使い方や寿命についても確認しました。是非最後までご覧ください。

1.ヒーターとは?

はじめてアクアリウムを始める方は購入前にサーモスタットとヒーターの特徴を知っておくと失敗が少ないです。ヒーターは電源が入っている時に熱を発します。ヒーターだけでは水温は上昇し続け熱湯になります。そこで適切な水温に調整するためにサーモスタットによる温度調整が必要になります。サーモスタットはヒーターの電源をコントロールして水温を管理する機能です。またアクアリウムではサーモスタット・ヒーターの2つの機能を総称してヒーターということが多いです。

ヒーターとサーモスタットとは?(仕組み)

2.サーモスタット・ヒーターの選び方

サーモスタット・ヒーターは大きく3種類あり、水槽や目的に合わせ適したタイプを選びます。

ヒーターとサーモスタットの種類と特徴

使い勝手の良い定番の分離型タイプ

分離型タイプは、ヒーターと温度センサー(サーモスタット)が分離しているため水温を均一に保ちやすい仕組みです。また消耗品のヒーターが故障した際に交換が可能です。購入の際に知っておきたい知識としてヒーターが付属しているサーモスタットは1~300Wまでのヒーターに対応している製品が多いです。つまり小型水槽用のサーモスタットでもヒーターを交換すれば大型水槽に使う※300Wまでのヒーターに対応できます。1~300Wまでのヒーターならサーモスタットは共通して使える製品が多いです。なので水槽サイズに合わせて、サーモスタットを買い換える必要はありません。※サーモスタットの接続可能ヒーター容量を確認すると対応されているかわかります。

小型水槽に扱いやすい一体型タイプ

一体型タイプは、温度センサーがヒーターに内蔵されコンパクトになったタイプです。スペースの少ない小型水槽に扱いやすいタイプです。一体型タイプは30cmキューブや45cm水槽など小型水槽に使うことが多いです。一体型タイプはカバー内にヒーターと温度センサーがあるため、ある程度水流がないと一定に保たれない場合があります。対策としては水流のあるフィルターの吸水口付近に設置するようにしてください。

価格が安い温度固定式タイプ

一体型タイプと同様に、ヒーターの中に温度センサーが内蔵されています。サーモスタットの温度調整のダイヤル部分がなく、温度は26℃など固定になっています。固定温度は製品によって違います。温度固定式タイプの最大の特徴はシンプルで価格が安いというメリットがあります。グッピー水槽を何本も並べてブリーディングする際に使っていました。

水槽サイズに適したヒーターと電気代の目安

ヒーターは水量の2~3倍の電力(W)を選ぶのが目安です。たとえば100Lの水量の水槽の場合は200~300Wのヒーターが適しています。

水槽サイズ適したヒーターと電気代目安

※電気代は1日8時間(東京電力)で計算しています。ヒーターの電力が倍になれば、電気代も倍になって電気代がかかると誤解しやすいですが電力が倍になった場合はヒーターの稼働時間が半分になり結果として電気代は大きな違いはでません。また夏(5月下旬~9月下旬頃)はヒーターはほとんど稼働せず電気代はかかりません。冬に温度が下がりやすい部屋の水槽は大きめの電力のヒーターを選ぶことをおすすめします。

価格はやや高いですが一番におすすめしたいのがニッソーの分離型タイプのニッソー プロテクトプラスです。これまで長年使用してきて、一番トラブルが少なく長く使っているヒーターです。5~6年以上使い続けているヒータが多いです。

ニッソー プロテクトプラスは45cm水槽から90cm水槽用のヒーターとしておすすめです。

【分離型タイプ】 ニッソー プロテクトプラス
【サーモスタット】 ニッソー プロテクトプラス

【ヒーター部分】 ニッソー プロテクトプラス

分離型タイプは消耗品のヒーターを交換できるメリットがあります。気になった悪い点は近年(4~5年で購入した)ニッソーのヒーターカバーは壊れやすく1~2年でカバーが破損してしまうということが多いように感じます。

【温度センサー部分】 ニッソー プロテクトプラス

ニッソー プロテクトプラス
商品名 価格 備考
楽天 アマゾン Yahoo!ショッピング
ニッソー プロテクトプラス R-110W 4,444円 4,371円 4,444 円 適合水量:約44L以下、適合水槽:幅45cm以下
ニッソー プロテクトプラス R-160W 4,545円 4,475円 4,480円 適合水量:約110L以下、適合水槽:幅90cm以下
ニッソー プロテクトプラス R-220W 4,747円 4,953円 4,747円 適合水量:約110L以下、適合水槽:幅90cm以下
ニッソー プロテクトプラス R-300W 5,806円 6,192円 5,806円 適合水量:約150L以下、適合水槽:幅90cm以下
※最新の価格は一覧のリンク先から確認してください。見つからない場合は楽天で探すのリンクから検索できます。
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GEX NEW セーフカバー ヒートナビは小型水槽で使いやすいコンパクトな(一体型タイプ)ヒーターです。セーフカバー ヒートナビは価格が比較的安くコンパクトな一体型のヒーターが人気です。ヒーターと温度センサーが一体型で独自の形状をしています。30cm水槽から60cm水槽用のヒーターとしておすすめです。

【一体型タイプ】 GEX セーフカバー ヒートナビ

【一体型タイプ】 GEX セーフカバー ヒートナビ

一体型タイプのヒーターは設置場所の水流が弱いと水温が思うように上がらないことがあります。また設置するヒーターの向きがあるので必ず説明書を確認しましょう。


GEX NEW セーフカバー ヒートナビ220
商品名 価格 備考
楽天 アマゾン Yahoo!ショッピング
GEX NEW セーフカバー ヒートナビ80 2,969円 3,020円 2,900円 水量約26L以下
GEX NEW セーフカバー ヒートナビ120 3,019円 2,891円 2,998円 水量約48L以下
GEX NEW セーフカバー ヒートナビ160 3,272円 3,018円 3,150円 水量約64L以下
GEX NEW セーフカバー ヒートナビ220 3,565円 4,460円 3,520円 水量約110L以下
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GEXとニッソーのヒーターは過去5年で7台のヒーターを使っています。どちらの製品も空焚き防止機能が標準です。(SHマーク対応 統一基準適合)

4.水温設定例

アクアリウム(淡水)では一般的には25~26℃が適温とされています。季節に合わせて水温を調整することで、魚や水草にとって、より快適な水温管理ができます。

冬の水温設定

10月に入るとぐっと気温が下がる季節がやってきます。夏場はほとんど動作することのなかったヒーターも稼働し、サーモスタットのランプがチカチカ光る日がでてきます。寒くなる前にサーモスタットとヒーターを動作をしっかり確認し、急に温度がさがった場合でも作動できるようにしておきます。またこの頃になると水温を下げるためのクーラー・ファンの稼働率も減り、次の夏までしまっても良い時期です。

冬の水温設定例:26~27℃
水温調整は10月中旬~下旬、20℃を下回る気温になったら、サーモスタットの温度を26~27℃程度に設定するようにしています。気温が20℃を下回ると、どうしても水流が行き届かない底床部分の水温が低くなりすぎて、水草の成長が悪くなることがあります。この低温部分を軽減するために、水温設定を2~3℃高め26~27℃設定して、真冬の低温対策します。

夏の水温設定

5月・ゴールデウィークを過ぎた頃から25℃を超える季節がやってきます。地域によっては5月には30℃を超える日もあります。クーラー・ファンを設置する気温になったら、水温設定を24℃とやや低めに設定します。

夏の水温設定例:24~25℃
夏は低めの水温設定にする目的は2つあります。ひとつは水温が低いほどCO2の溶解度が高まり、水草の成長を促進できます。ふたつめは、ヒーターとクーラーが同時に動作しないために、夏は少し低めに水温設定にします。たとえば気温が29℃で、水温設定を26℃に設定していた場合、3℃の水温を下げるクーラーファンが動作していた場合は、クーラーは25℃まで水温を下げ、ヒーターは26℃まで上げようと動作してしまいます。

5.ヒーターの設置方法

ヒーターの設置場所はとても重要です。正しく設置しないと冬場は水温が上がらず水草や熱帯魚に悪影響を与えます。

ヒーター・サーモスタットの位置

メーカーやヒーターのタイプによってに若干違いはありますが基本的な設置方法は一緒です。ポイントは温度センサーは水流のある場所に設置し、ヒーターと温度センサーはある程度離すような位置に設置します。

ヒーターの設置の注意点

温度センサーの高さの位置はフィルターの給水口近くの水流がある場所かつ高さは底に近い場所に設置します。一体型タイプも水流のある低い位置に設置してください。これは冬のお風呂の底が冷たいことがあるように温かいお湯は上に、冷たい水は底に流れます。

6.ヒーターの故障原因と対策

ヒーターの故障の原因から長く使う為の対策を紹介します。ヒーターの故障で一番多い原因はヒーター内の温度ヒューズが切れてしまうことです。ヒューズが切れる原因は、ヒーターはオン、オフを繰り返すため、長年使っていると消耗してヒューズが切れます。

短期間で故障する原因

短期間に故障する原因は大きく2つ考えられます。1つ目は水換え時など水位を下げすぎてヒーターを空焚きをしてしまい温度ヒューズが遮断してしまうことがあります。2つ目はヒーターの温度が高い状態で水槽から取り出したことで熱がヒーター内にこもり温度センサーのヒューズが切れてしまうことがあります。水槽の掃除やリセットなど、水槽からヒーターを取り外す場合は、必ずヒーターの電源を切って15~20分経過してから水槽から取り外すようにしてください。

ヒーターの故障原因の空焚き対策

ヒーターの寿命や交換のタイミング

2社にヒーターの寿命について確認したところ、基本ヒーターは壊れづらく長く使えるものという見解でした。ただしメーカーの都合により1年で交換するようにと説明書には記載しているそうです。メーカーの担当者さんの話では、長く使っているものでは7年も使っているものもあるそうです。これは私も同じ見解で、基本的にヒーターに劣化や損傷がない限り、温度ヒューズが切れるまで使えると思っています。水草水槽であれば4~5年は使えます。ただし使い方によってはキスゴムやコードなど事故につながる消耗がある場合は、メーカーの説明書にあるように1~2年で交換する必要があります。

夏のヒーターの設置について

小型水槽やレイアウト水槽ではヒーターが邪魔で、夏になると水槽から取り出したくなる方も多いと思います。夏場のヒーターの電源の有無はどうしたらよいのか?メーカー3社に問い合わせしたところ、夏場は電源を切っても問題ないという回答でした。メーカーによっては電源を切ったほうが消耗が減り長く使えるということです。しかし私の経験では水槽から取り出さずに、電源も切らずに使い続けていたほうがトラブルが少ないと感じます。夏はヒーターの電源が入ることは少なく消耗することはほとんどありません。逆に水槽から取り出したり、保管する際にヒーターを破損するリスクが高くなります。過去の経験でヒーターを夏には水槽から取り出して、秋に再稼働させたときに、1台は電源が入らない故障がありました。この原因は詳しくはわかりませんが、近年このような事例は多く感じます。

使わなくなったヒーターの保管方法

使わなくなったヒーターの保管方法は、電源を切って水槽内でヒーターが冷める15~20分ほど経過してから水槽から取り出してください。炭酸カルシウム(茶色がかったもの)など汚れた部分は柔らかいスポンジで掃除します。汚れを拭き取ったら乾いたタオルで拭いて安全な場所に保管します。

地震・事故対策

2011年の東日本大震災ではヒーターが原因で火災になったケースもあり、そのため電気用品安全法に基づき観賞魚用ヒーターの空焚きによる過熱対策が改定されました。現在国内で販売されているヒーターはすべて空焚き対策された製品が販売されています。ですが安全にアクアリウムを楽しむためにはヒーターに備わっている安全対策機能だけでは不十分です。普段からサーモスタット・ヒーターの管理を意識することが地震・事故対策になります。サーモスタットやヒーターの固定が不十分で事故は起こります。サーモスタット・ヒーターを設置する上で重要なポイントを3つまとめました。

サーモスタットの設置サーモスタットの固定が不十分の場合に振動などで床に落下した際に、ヒーターや温度センサーが水槽から抜け落ちないように固定してください。この事故は私は経験あります。
温度センサーのコード部分の固定温度センサーが水面より高い位置にあると水温が測れずに、冬の場合は沸騰するまで温度が上がる可能性があります。
ヒーターのコード部分の固定水中のキスゴムは劣化しやすいので注意が必要です。キスゴムが外れヒーターが水槽から飛び出ると事故の原因になるので、ヒーターはしっかり固定してください。

また外側のガラス面のキスゴムも外れやすいので、ガラス面とコードはキスゴムが外れてしまう場合はテープなどで固定するようにしてください。

水温が上がらない時の対策

水温が上がらない原因は大きく2つあります。1つめは水流が弱く、温度センサーとヒーター付近の水温だけ温まり、全体の水温が上がらない場合があります。特に一体型タイプは、ヒーターカバー内に温度がこもりやすく、水温が上がらない原因になります。対策としてはフィルターの吸水口など水流のある場所に設置する必要があります。2つめは、ヒーターの電力(W)が水槽の水量に対して小さい、または電力が適切なサイズでも玄関など冬場10℃以下になるような場所の水槽は、電力が足りず水温が上がらない場合があります。対策としては、ひとつ大きなサイズの電力のヒーターを使います。

  1. ヒーターの位置が適切でない・水流が弱い・撹拌していない
  2. ヒーターの電力(ワット数)が足りない・部屋の気温が10℃以下になる
ヒーターの動作チェック

温度が上がらず故障かな?と思ったら、ヒーターの電源を直接コンセントに挿して動作するか確認します。サーモスタットが内蔵されている一体型タイプの場合は、設定温度を最大までにして動作するか確認します。動作する場合は、下記の写真のようにヒーター部分の水がゆらゆらと揺れたような感じに見えます。また水換え時に空焚きをしてしまい温度ヒューズが切れていないかチェックする際にも確認できます。

ヒーターの動作チェック

水が熱で揺れて見える ヒーターの動作チェック
設定した温度に調整できない原因(水温が高くなる場合)

設定した水温が高い場合は3つのケースが考えらます。1つは部屋の温度が設定温度より高い場合です。ヒーターは水温を下げる機能はありません。2つ目はヒーターの近くに水温計があり正しく測定できていない場合があります。3つめは通常はありませんが、はじめてアクアリウムをはじめた初心者の方で間違ってサーモスタットを使わずにヒーターを直接コンセントに指している場合です。

  1. 部屋の温度が高い
  2. ヒーターの近くに水温計がある
  3. ヒーターを直接電源に挿している
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