観賞魚の寿命と死因について

世界では500年以上も生きている魚もいるそうですが、アクアリウムの小型魚は長くても10年程度です。今回は飼育に役立つために知っておきたい魚の寿命について、長年飼育してきた記録と経験を元に紹介したいと思います。

1.観賞魚の寿命

メダカは2~3年、金魚は10~15年、コイは20~30年の寿命といわれています。アクアリウムの熱帯魚(淡水魚)は2~5年、海水魚は4~8年の寿命の魚が多いです。

熱帯魚(淡水)

  • メダカの寿命:2~3年
  • 金魚の寿命:10~15年
  • コイの寿命:20~30年
  • 熱帯魚の寿命:2~5年
  • 海水魚の寿命:4~8年
海水魚(写真:クマノミ)

2.観賞魚の寿命とは?

寿命は病気によらない自然死までの年数を指します。多くの個体の平均を平均寿命とし、最も長く生きた個体の寿命を最大寿命といいます。観賞魚は自然界の魚と同様、個体差や環境によって寿命の長さは違ってきます。自然界の方が寿命が長いと思われる方もいるかと思いますが、小型魚などは水槽の方が天敵が少なく、十分な餌が与えられる為、自然界より寿命が長くなる場合があります。逆に大型魚のアロワナなどは水槽の飼育より自然界の方が寿命は長くなることが多いようです。

観賞魚の寿命とは?(写真:ゴールデンハニー・ドワーフグラミー

3.寿命を左右する要因

観賞魚の寿命は個体差だけではなく、水槽サイズや一緒に飼育する魚などの相性によって魚の寿命に影響が出る場合があります。さらに餌の与え方や水草がよく茂った魚のストレスが少ない環境が理想です。また私の経験上、同種同士のフィンスプレッディングを頻繁にする個体や大きめの立派な形の良い個体は寿命がやや短くなる印象があります。

  • 水槽サイズ
  • 水槽環境
  • 餌の与え方
  • 混泳する魚

4.観賞魚の見頃・ピーク

2~10cm程度の小型魚の観賞魚の見頃・ピークは、購入から3~8ヶ月が一番美しく感じる期間になることが多いです。これは購入時は生後から2~4ヶ月の若魚が販売されていることが多く、そこから2~6ヶ月かけて成魚になり、魚の体型が整いオスはヒレが長く伸び、体色が上がり美しくなります。購入状態や種類によっては、さらに時間をかけて色の上がりが良くなる場合あります。ミクロラスボラsp.ハナビポポンデッタ フルカタの2種類の購入から見頃・ピークの変化をご覧ください。

ミクロラスボラsp.ハナビ(購入時)

ミクロラスボラsp.ハナビ(飼育から約4ヶ月)

ポポンデッタ フルカタ(購入時)

ポポンデッタ フルカタ(飼育から約4ヶ月)

5.老化の症状

老化は成魚になり成長が止まってから徐々に老化が始まります。見頃・ピーク過ぎから半年~1年すると、魚の種類によっては体が曲がってきたりする場合があります。また飼育から2~3年すると徐々に体色の発色がくすんでくることがあります。さらに魚の種類や飼育環境によっては、ヒレがボロボロになったり、目が白く濁ってきたり、※目が取れたりすることがあります。※目が取れてしまう原因は魚同士の争いで取れてしまうことがあります。また寿命が近づくにつれて、泳ぎが鈍くなり、フラフラ泳ぐようになります。またネオンテトラなど小型魚は、老化が進むと他の魚が発症しないような環境でも、白点病や尾腐れ病などが発症しやすくなる場合があります。

  • 発色が悪くなる
  • 体型が変わる・曲がる
  • 目が白くなる・目が取れる
  • 泳ぎが悪くなる・鈍くなる
発色が悪くなる

ハイフェソブリコン・メタエ・コロンビア

発色が悪くなる(飼育から約8年半)

体型が変わる・曲がる

色のが揚がったホワイトフィンロージーテトラ

体型が変わる・曲がる※個体差あり(飼育から4年)

目が白くなる・目が取れる

真っ赤に発色したファイアーファントムテトラ

目が白くなる・目が取れる(飼育から8年半)

泳ぎが悪くなる・鈍くなる

美しいネオンテトラ

泳ぎが悪くなる・鈍くなる(飼育から3年半)

6.熱帯魚の種類別の寿命

熱帯魚(淡水魚)の寿命は種類によって違います。まずは大きさ別に代表的な熱帯魚の寿命の傾向を紹介します。

熱帯魚の種類別の寿命(写真:ブルーグラスグッピー

大きさ
  • 小型魚 ネオンテトラ、グッピー:2~3年
  • 中型魚 ディスカス、エンゼルフィッシュ:5年~10年
  • 中型魚 アフリカンシクリッド:5~10年
  • 大型魚 アロワナ、レッドテールキャット、ポリプテルス:10~20年
小型熱帯魚の種類の寿命の傾向

小型魚(2~5cm)の種類別の寿命傾向を紹介します。寿命は目安で1~2年で寿命がきてしまう場合もあれば10年近く長生きする個体もいます。

小型熱帯魚の種類の寿命の傾向(写真:ディープレッドホタルテトラ

  • カラシンの仲間:2~5年
  • メダカの仲間:2~3年
  • コイ・ラスボラの仲間:2~3年
  • コリドラス:3~5年

7.観賞魚に多い死因

25年以上飼育歴のあるベテランが水草水槽で管理した場合に、熱帯魚を死なせてしまう原因の順位をランキング形式で紹介します。

小型熱帯魚の種類の寿命の傾向(写真:ウォルターレッドテトラ

  • 1.寿命
  • 2.購入から1~3週間以内に死なせてしまう。
  • 3.水槽からの飛び出し
  • 4.競争争い・捕食
  • 5.人為的なミス
  • 6.病気

管理が行き届いた水草水槽で死ぬ原因1位は「寿命」です。割合は体感になりますが3~6割で、魚の種類によって違います。2位は1~3割で購入から一ヶ月以内で死なせてしまうケースです。原因は運搬時のダメージや新しい環境に適応できずに死なせてしまうケースが多いです。3位は1~3割で水槽から飛び出してしまうケースです。4位は1割で混泳水槽による魚同士の争いや捕食されてしまうケースです。5位は1割以下で間違って網で救ってしまったり、水槽の掃除の際に間違ってダメージを与えてしまう場合です。特に2cm以下の極小の熱帯魚は注意していてもミスで死なせてしまう場合があります。6位は1割以下で白点病やカラムナリス病(尾腐れ病やネオン病)の感染が原因で死なせてしまうケースです。

飼育経験を積むと購入状態で病気を持ち込まない限り、病気で死なせることはほとんどなくなりました。初心者だったころは、「2.購入から1~3週間以内に死なせてしまう。」や「5.病気」など水槽管理の甘さで死なせてしまうケースが多く、寿命までなかなか飼育できませんでした。

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