ガラス面の緑色のコケの発生原因と抑制対策

アクアリウムのコケでまず目にするのはガラス面に付く緑色のコケではないでしょうか。このガラス面に付く緑色のコケは、身近なコケですが、水槽の汚れ具合が把握できる為、水槽の水換え頻度の目安になります。さらにガラス面に付く緑色のコケの原因を知り、その抑制対策をすることで、すべてのコケの種類の発生の抑制につなげることができます。特に光量の強い環境が求められる水草水槽では、ガラス面に付く緑色のコケのチェックをして、美しい水槽作りに役立てることができます。ガラス面に付く緑色のコケは英語ではgreen dust algaeと訳されます。略してgdaと呼ばれています。
1.発生原因
ガラス面の緑色のコケの発生原因は栄養分が蓄積したことで発生します。ガラス面の緑色のコケを発見したらまず水換え回数が足りない、栄養分が蓄積している水槽と判断できます。ガラス面の緑色のコケの発生源は次の2つが主な原因になります。
- 光量の強さに比例して発生する
- 魚に与える餌の量に比例して発生する
コケの原因の主な発生源
光量の強さに比例して発生する
ガラス面のコケは照明の光量の強さや点灯時間に比例して発生します。光量が強い場合は、増殖力・発生スピードが早まり、点灯時間が長いと発生量が増える傾向があります。
魚に与える餌の量に比例して発生する
水槽に熱帯魚を入れてから数日で栄養分が発生します。栄養分は魚に与える餌の量に比例して、糞や汚れがバクテリアによって分解され栄養分になり、ガラス面の緑色のコケは3~5日もすると発生しだします。
コケの発生の栄養源は、餌や魚の糞だけではありません。水槽立ち上げ初期のソイルからもコケの発生原因の栄養分が発生します。また水草のために追肥した肥料(窒素・リンを含む)からもコケの発生を促進する栄養分が発生することがあります。
2.発生しやすい水槽の特徴
次の4つ中からひとつでも該当するものがあれば、ガラス面の緑色のコケが発生する可能性があります。
- 魚の数が多い・餌の量が多い
- 水換え回数が少ない(週に1回未満)
- 水草が少ない・水草が育たない
- 光量が強い・点灯時間が長い
魚の数が多い・餌の量が多い
魚の数多い水槽や毎日餌を与えている水槽では、慢性的にガラス面の緑色のコケが発生しやすいです。
水換え回数が少ない(週に1回未満)
水換え頻度が少ない水槽は栄養分が蓄積しやすくガラス面にコケが発生しやすい傾向にあります。
水草が少ない・水草が育たない
水草が育たない水質や環境では、慢性的に栄養分が蓄積するため、ガラス面の緑色のコケが発生しやすくなります。水草が育たない原因は水草が育たない・枯れる原因を知るの記事を参考にしてください。
光量が強い・点灯時間が長い
水草がよく育つ光量の強いLED照明を使っている場合や点灯時間が8時間以上の水槽はコケが発生しやすくなります。また窓際の日光が当たりやすい水槽は発生しやすいです。コケの発生は水槽内の栄養分と光量の強さに関係しています。微量の栄養分の蓄積でも光量が強いとガラス面のコケが発生しやすくなり、逆に光量が弱ければ栄養分が蓄積した水槽でもコケの発生は緩やかになります。
3.抑制方法(対策)
ガラス面の緑色のコケ対策は、まず最初に発生しづらい環境改善水質改善に必要な4つの抑制方法(対策)が重要です。
- ⅰ.水換え回数・量を増やす水質改善
- ⅱ.餌の与え方を調整する水質改善
- ⅲ.水草の量を増やす環境改善水質改善
- ⅳ.光量・照明時間を調整する環境改善
ⅰ.水換え回数・量を増やす水質改善
水槽の水換え不足は、ガラス面の緑色のコケだけではなく、コケ全般の発生を誘発します。水換え時の水槽の掃除は、底床の汚れをプロホースを使い魚の糞やゴミを除去します。水換えは週2回水槽の3分の1程度の量が目安になります。水換えのタイミングはコケを発生させない為の水換え方法の記事をご覧ください。
ⅱ.餌の与え方を調整する水質改善
水槽のガラス面の緑色のコケの発生の根源は毎日与えている餌がそのひとつです。餌は一日1回、数分で食べ残しが残らない量を与えます。さらに私は他の餌と比べてガラス面の緑色のコケの影響が少ないと感じる※テトラ プランクトンを使用しています。※テトラプランクトンを使うことで、ガラス面の緑色のコケが発生しなくなるわけではありません。
ⅲ.水草の量を増やす環境改善水質改善
水槽いっぱいに水草が元気よく育つ水槽では、ガラス面の緑色のコケは発生しづらい水質環境ができます。これはガラス面の緑色のコケに必要なリン・窒素(硝酸)の栄養分を水草が吸収するためです。CO2添加していない水槽の場合は、成長の早いCO2添加のいらない水草を植栽したり、水面に浮き草を入れたり少しでも栄養分を吸収できる環境づくりが大事です。CO2がいらない成長の早いハイグロフィラ ポリスペルマ、メダカ水槽などやヒーターがない水槽の場合はマツモ、小型水槽やボトルアクアリウムに扱いやすい浮き草のドワーフフロッグビットがおすすめです。

ⅳ.光量・照明時間を調整する環境改善
ガラス面の緑色のコケ対策は、光量を弱める、点灯時間を短くすることが一番効果のある方法です。光量の強いLED照明は水草育成に適していますが、あらゆるコケの成長を促進する効果もあります。そのためコケが発生した場合は光量を半分程度まで弱める調整が重要です。点灯時間は6時間程度に調整します。
抑制方法(対策)でガラス面の緑色のコケが抑制できない場合は、最終的に光量を調整することで水槽のガラス面のコケの発生をコントロールしやすいです。また水草がない水槽や照明の光量を調整できない場合は、コケ抑制剤を使ってコケを抑制することも可能です。
4.除去方法
ガラス面のコケを落とす便利な3つの道具
ガラス面・器具のコケ落とし
メラミンスポンジは柔らかいスポンジ素材の為、ガラス面や器具のコケを傷つけることなく簡単に落とすことができます。他のスポンジと比べて格段に掃除の効率がアップするため、水槽の掃除には定番のアイテムです。
頑固なコケをサクサク落とせる
固くなったコケや手の届かない背面や底面のガラス面のコケ落としはスクレーパー プロレイザーが断然使いやすくおすすめです。
ガラス面の仕上げ
コケクロスは、シリコン部分や最後のガラス面の仕上げに使います。メラミンスポンジでも仕上げはできますが、面積の広い布上のコケクロスを使うことで、効率よくガラス面の仕上げの掃除ができます。
除去手順
ガラス面のコケ落としは、水換えや掃除前に予めコケを除去してから行います。
手順1ガラス面のコケを落とす
手順2水換え・掃除
水槽の掃除は、底床の汚れをプロホースを使い魚の糞やゴミを除去します。具体的な水換えの量や頻度はコケの発生スピードに違います、詳しくは水換えの目安をご覧ください。
ガラス面のコケを食べる生体
ガラス面のコケ取り生体はエビよりオトシンクルスがおすすめです。エビはガラス面のコケは食べないことが多いです。オトシンクルスは見た目も可愛く鑑賞価値もある人気のコケ取り生体です。その他、水草水槽ではあまり採用されませんが熱帯魚水槽であれば石巻貝やフネアマ貝などの貝の仲間もコケ取りの効果を発揮します。
5.ガラス面のコケからわかること(重要)
ガラス面のコケの種類
ガラス面のコケの形状や色は、発生からの経過時間、光量、水質によって変化します。

ガラス面に薄っすら発生するコケ
ガラス面に薄っすら発生するコケの発生は水槽立ち上げから1週間程度してから発生しやすいコケです。色は黄緑色、薄茶、茶色、緑など水質や環境によって変化します。このコケの観察は、水換え後綺麗になったガラス面から何日目に発生したかを確認することで、水槽の栄養分の蓄積具合を把握できるようになります。発生の確認はガラスの正面からは確認が難しい為、水槽の横(側面)から観察することで発生が確認できます。
正面のガラスから確認できるコケ
ガラス面に薄っすら発生したコケから2~5日目経過すると、写真ように正面からコケが確認できるようになります。この状態になる前に水換えや掃除することが重要です。
斑点状のコケ
斑点状のコケは、ガラス面に薄っすらしたコケが徐々に色が濃くなり、さらに1~2週間するとコケが集合するようにコケが斑点状に形成していきます。
スポット状のコケ
ガラス面のコケを放置した状態から3~6週間以上経過すると写真のように、丸い緑色のスポット状のコケが発生しやすくなります。このコケが発生すると、ガラス面のコケも固くなり擦り落とすのに力が必要になります。ガラス面のコケは、経過とともにガラスに付着する頑固さが増していくので、発生から早めに落とすことが大切です。
茶色の頑固なコケ
茶色の頑固なコケは薄い黄緑色、茶色、赤茶色まで水質や環境によって色はかわります。発生時期は水槽立ち上げから数ヶ月経過~半年以上経過した時期に発生しやすいです。長期間維持している水槽で発生することが多く、底床内や水槽背面下に発生しやすいです。このコケは固く非常に擦り落とすのが大変なコケです。ガラス面の手の届きづらい硬いコケを落とすにはスクレーパー プロレイザを使うと便利です。
この他にもガラス面にはあらゆるコケの種類が付着します。水槽に発生するコケの種類は水槽に発生するコケの種類と原因の記事をご覧ください。
水換え頻度の目安
週に何回水換えをしたら良いのか?いつ水換えしたら良いのか?そんな水槽の水換え頻度の目安がガラス面のコケの発生スピードからわかります。綺麗なガラス面から何日目にコケが発生したか確認することで水槽内の栄養分傾向が把握でき水換えの目安がわかります。
ガラス面の緑色のコケの発生のスピードが早いと、栄養分の蓄積が多いとわかり、栄養分を速やかに取り除かないと、あらゆるコケの発生の原因になります。次に水槽の横からガラス面をチェックした時に、薄っすら緑色のコケが発生したスピードを4つのケースに分けて、水槽の汚れ具合に合わせた水換え方法を紹介します。
週3~4回の水換えが必要な水槽【対策必要】
ガラス面の緑色のコケが24時間以内に発生する場合は、水槽のガラス面を綺麗に掃除してから、1時間もしないうちにガラス面に発生する場合があります。コケの発生が非常に早い場合は、水槽内に栄養分が多く蓄積している可能性があります。あらゆるコケの大発生の危険性があります。 この場合は水槽の3分の1程度の量の水換えを週に3~4回行う必要があります。さらにコケが大量発生している場合は水換えと合わせて光量調整によるコケの除去が必要になります。詳しくはこちらの「水草を枯らさずに10日間でコケを完全撲滅」をご覧ください。
週2~3回の水換えが必要な水槽【対策必要】
ガラス面の緑色のコケが1~2日以内に発生する早い場合は、水槽内に栄養分が蓄積して、糸状のコケや黒髭コケの大発生するリスクがあります。コケの発生が早い場合は、週の水換え回数を2~3回に増やし、かつ水換え量も3分の1から2分の1に増やす必要があります。
週2回の水換えが必要な水槽【普通】
ガラス面の緑色のコケが3~4日以内に発生する場合は、週の水換え回数を週2回、3分の1量が目安になります。この状態でも黒髭コケの発生のリスクがあります。
週1回の水換えが必要な水槽【理想】
ガラス面の緑色のコケが5~6日以内に発生する場合は、コケの発生が抑えられた水槽です。水換えは週1回、3分の1量が目安になります。発生しないのが理想ですが、この状態であれば黒髭コケの発生を限定的に抑えられます。
コケの発生のチェック方法
次の水槽例は週2回、水槽の1/4の水換えをした、「週1回の水換えが必要な水槽【理想】」の水槽です。写真の1枚目は、掃除の直後の水槽の横から見たガラス面です。ガラス面に付く緑のコケは、写真のように横から観察します。ガラス面は最初の1枚目から8枚目まで、コケの発生を観察したものです。3枚目(2日目)に水槽の1/4の水換え、6枚目(5日目)にトリミング行っています。水換えやトリミング時にはガラス面のコケは拭き取っていません。
水換え頻度を減らすポイント
実際に、ガラス面のコケをチェックすると、2~3日で発生している水槽が大半だと思います。慣れていない初心者の方は水換えの頻度や回数を考えると、なかなか「週1回の水換えが必要な水槽【理想】」の状態まで、抑制するのは難しく感じるはずです。水換え頻度を減らすポイントは、ガラス面の緑色のコケは、光量と栄養濃度に比例して発生スピードが早くなります。この光量と栄養濃度の2つを減らすことが重要になります。例えば光量を弱めたり、点灯時間を短くするだけでも発生スピードは遅くなります。さらに具体的な方法は3.抑制方法(対策)をご覧ください。
コケを出さないための水換え方法、コケの種類や発生原因、水槽のコケ対策、除去方法、おすすめのコケ取り生体など綺麗な水槽づくりに役立つ記事6選
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません